2005年11月17日 (木曜日)

Podcast/Vodcastの広告配信システム

最近、ポッドキャストの音声ファイルに自動的に広告メッセージを挿入する"Fruitcast"というサービスが始まりました:

Insert Ads into Podcasts with Fruitcast (TechCrunch)

さらに今日の日経産業新聞に、ユーザーから投稿されたビデオ映像に広告をつけて配信するサービスが始まったというニュースが掲載されていました。こちらはWEB上での記事が見つからなかったので、一部引用しておきます:

米新興企業のレーバー(カリフォルニア州)はアマチュアの映像作家から投稿されたビデオ映像に広告を付けて配信するサービスを始めた。同社はビデオの視聴回数などに応じて、製作者に報酬を支払う。
(中略)
アマチュアの映像作家が同社のサイトに映像を載せると、レーバーは映像の最後に広告素材を追加。視聴回数や広告のクリック回数などを記録するシステム「レブタグ」も添付する。
(日経産業新聞2005年11月17日、第2面より引用)

ちなみに映像は同社のサイトだけでなく、検索エンジンによる検索結果の画面や、iTuneにも登場するそうです。

さすがに映像・音声の中身を自動的に判別して、最適な広告を挿入するというレベルまでは難しいでしょうが、投稿者の自己申告などの仕組みを作れば、ある程度関連性のある広告を入れることができるのではないでしょうか。場合によっては、無視しようと思えばいくらでも無視できるWEBページ上の広告よりも、ユーザーへの認知度は高くなるかもしれません。(レーバーの仕組みでは、単に映像の最後をスキップされてしまいそうな気もしますが。その点Fruitcastはファイルの前後、もしくは両方に広告を挿入する仕組みになっており、より認知されやすいと言えます。)

ポッドキャスト/ボッドキャストでも効率的に広告を挿入する仕組みが出てきたことで、一般人によるコンテンツ制作が流行るかもしれませんね。以前Yahoo!がポッドキャスト製作支援ツールを開発中らしいという記事を紹介しましたが(参考記事:TechWeb "Yahoo Designs Podcast Development Tool")、プラットフォーム+支援ツール+広告モデルが出揃うことで、一般人もポッドキャスト/ボッドキャストを始めやすい環境になってきたと言えます。これまではテキスト主体だったCGM(Consumer Generated Media)ですが、今後は音声/映像によるコンテンツも増加すると思います。

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2005年11月15日 (火曜日)

Votoms on iPod!

すみません、個人的に嬉しかったニュースを1つ:

Anime meets iPod (CNET News)

Betrayed by his superiors and fellow troopers, Chirico Cuvie has to fight his way out of a military prison, killing guards and dodging machine gun fire.

これだけでピンときた方は、僕と同年代のはず。そう、Chirico Cuvieと言えば「装甲騎兵ボトムズ」の主人公。この記事によると、なんとアメリカでボトムズをvodcastingする計画が進んでいるんだとか。

As a medium of caricature, with exaggerated gestures and expressions, Anime is well-suited to the iPod's clear but tiny screen.

と記事は書いていますが、確かに昔のアニメなら小さなスクリーンで観ても許せるかも。しかも子供の頃お気に入りだった番組だとしたら、ついダウンロードしてしまいそうな気がします。

しかしボトムズは昔のアニメなので、全52話なんですよね。懐かしくて最初の1、2話だけ観て・・・と思っているうちに、全話購入してたりして。それを狙ってボトムズを選んでいたとしたら、よく練られた戦略かも?

2005年11月14日 (月曜日)

Podcast、Vodcastの視聴率調査技術

ポッドキャスティング、ボッドキャスティング(Video Podcasting)はRSS技術を応用したメディアのため、配信されても本当に視聴されているかどうか分からないという弱点がありました。個人的なコンテンツ配信ならばかまいませんが、これらを広告メディアとして利用しようという企業にとっては、正確な効果測定ができないというのは大きな問題になります。

この弱点を補う技術が開発されようとしています。まずはポッドキャスティングについて:

ポッドキャスト、計測サービスが登場―視聴時間も計測可能(U.S. Frontline)

記事によると、このサービスは「ダウンロード回数だけでなく、ユーザーの視聴時間を計測し、番組が本当に視聴されているか調べられるのが特長」とのこと。

次にボッドキャスティングですが、こちらは先週金曜日(11月11日)の日経新聞に載っていたニュース。残念ながらWEB上では記事を見つけられなかったのですが、紙面(「ネット映像の『視聴率』調査--KDDI 電子透かし技術活用)によると、KDDIが電子透かし技術を活用することにより、ネット配信した映像を視聴者が何回見たか分かる技術を開発したとのこと。電子透かしを活用しているので、他人に渡したコピーが閲覧された回数まで把握できるそうです。

KDDIの技術の方はまだ商品/サービス化は先になりそうですが、ニーズがあることは明白ですから、近いうちに登場してくることでしょう。また似たような「ポッドキャスト/ボッドキャストの視聴率調査サービス」が他社から発表される可能性も高いと思います。

今後技術が発展して、テレビ/ラジオ以上に正確な視聴率が測れるようになったら、これまで以上に広告がネットへと流れていくのでしょうね。

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2005年10月26日 (水曜日)

「携帯ビデオがパッとしない7つの理由」を解決する

CNet Japanのコラム「エキスパートの視点」で、Video iPodなど携帯ビデオプレーヤーは普及しないだろう、という意見が掲載されています:

携帯ビデオがパッとしない7つの理由(CNet Japan)

表題通り、携帯ビデオの普及を阻む7つの理由が語られています。

逆に言うと、この7つの障害が乗り越えるような使い道が考えられれば、それが携帯ビデオのキラーコンテンツとなるのでは?僕は携帯ビデオプレーヤー、あるいはVodcasting(Video Casting)の熱心な支持者というわけではないのですが、面白いので挑戦してみます。

  1. 「ながら観賞」ができない
  2. 「ながら鑑賞」しなくても良いコンテンツなら良いのでは?昨日の記事(Video iPodのキラーコンテンツ?)で紹介した通り、「ハウツービデオを携帯ビデオプレーヤーにのせるのはどうか」というアイデアが出ています。「歩きながら見る」ために映像に携帯性を持たせるのではなく、「テレビが近くにない所で映像情報を提供する」ために映像を持ち出せるようにする、という発想をすれば良いのではないでしょうか。

  3. 画面が小さ過ぎる
  4. 「画面が小さくても良い」コンテンツ、あるいは変な表現ですが「一部に注目していれば良い」コンテンツを載せればいいのでは。例えばキッチンで見るための「長流と鰐のグリブナーヤ・イクラ(料理名です)」の作り方ビデオであれば、ある程度画面は小さくても良いし、必要に応じて手元や食材をアップで撮影しておけば良いはずです。

  5. 動画は得てして長過ぎる
  6. 語学講座や道順案内など、ブチブチ切りながら見てもよいコンテンツもあるのでは?
    またこの発想も、「携帯ビデオは移動中に見るものだ」という前提にこだわり過ぎているのではないでしょうか。確かに20~30分程度しか1つの移動手段の中にいない通勤・通学の場面では、30分~2時間のコンテンツ(テレビ番組や映画など)を見るのには無理があるでしょう。しかし先ほどの「ハウツービデオ」系コンテンツであれば、一箇所に止まって見ることを想定して、ある程度長いコンテンツも可能なはずです。

  7. どこにでもテレビがある
  8. 通勤・通学途中はもとより、日曜大工をしている庭先、肉じゃがを作っているキッチンには存在しません。

  9. 繰り返して見たりしない
  10. これも「ハウツー系」なら、何度も見ることが考えられるでしょう。特に語学講座であれば、何回も繰り返し見なければいけません。

  11. 簡単に解決できる問題がない
  12. これはどちらかと言うと「iPodが爆発的に売れた理由」なので、「Video iPod」が爆発的に売れない理由にはなっても、携帯型ビデオプレーヤーが流行らない、あるいはVodcastingが普及しないという理由にはならないのでは。

  13. すでに代替品がある
  14. 携帯用DVDプレーヤーでは、ネット直結というわけにはいきません。既にDVD化されているコンテンツであれば良いですが、「Usherの最新ビデオクリップ」なんかはいったんダウンロードして、DVDに焼かなければいけません。1回や2回ならまだしも、それを日々繰り返すとなると考え物でしょう。

ということで、なんだか昨日の「ハウツービデオ on iPod」というアイデアに引きずられたような内容でしたが。要は「携帯ビデオ=移動中に見るもの」という発想を捨てて考えてみれば、様々な可能性が考えられるのではないかと。

ここまで考えてきて、僕自身が可能性があると思っているのは「NHK語学講座Vodcasting」です。Podcastingに関するものですが、先日の記事(Podcastingのキラーコンテンツとは?)でご紹介した調査では、今後聴きたい番組として語学講座・専門学習講座を挙げた回答者が37.3%も存在しています。中でも語学は、耳と同時に目からも情報を取り入れないと、上達が難しい学問です。とりあえず「語学講座を毎日携帯ビデオで視聴する」ニーズはあるとしましょう。

で、「ながら見」ですが、これはクリアできます。1回の番組は短い(現在、ラジオ講座は20分、テレビ講座は30分)ですし、いつ一時停止しても問題ありません。画面が小さくても問題ないですし、単語のつづりを覚えて欲しい時には、画面をアップにすれば良いのです。

しかも繰り返し、定期的に見る必要があります。1日に7時間の勉強をするのではなく、毎日1時間の勉強を1週間繰り返した方が効果があるのが語学です。語学講座とVodcasting、意外と相性が良いと思うのですが、どうでしょうか?

・・・実は来年のサッカーワールドカップに向けて、遅まきながらドイツ語の勉強を始めたいのに、なかなかNHK語学講座の時間に家に居れない、という不満を感じているだけだったりするのですが。

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2005年10月18日 (火曜日)

Vodcasting専門テレビ局が開局

Video iPod登場で普及が期待されるvodcasting(video podcasting)ですが、日本でvodcasting専門テレビ局が登場するというニュース:

iPod専門テレビ局「PodTV」が開局--100チャンネルを無料で(CNet Japan)

テレビ番組やコマーシャルの制作も手がけるメディアエンジンが携わるということで、番組はある程度しっかりしたものが期待できそうです(テレビ向けコンテンツ製作のノウハウが、そのままvodcastingに応用できるとは限りませんが)。

すでに同社内では、「杉村太蔵議員」専門チャンネルなど、80チャンネル以上の番組案を検討しており、まずは100チャンネルを目指す。

とのことですが、こちらはちょっと不安に感じます。占いやニュースなどといったコンテンツで「数」ばかり稼いでも、「なぜvodcastingというチャネルで配信するのか」という存在意義を見出すことはできません。チャンネル数の豊富さを競うよりも、vodcastingならではのコンテンツを開発するという「質」の方を重視した方が良いと思うのですが。

それに「数」はもはや、ユーザーに対するアピールにはなりません。一般のユーザーが、自作ビデオを自由にネット上に公開できるようになる日も近いのです:

Google To Host Home-Video Uploads (Yahoo! News - TechWeb)

既に写真の共有はFlickrという成功モデルがありますから、Google以外でもこの分野に参入する企業は多いでしょう。Blogが新聞社顔負けの記事を投稿するbloggerを生んだように、Vlog(Video Blog - 動画を配信するブログ)がテレビ局並みの映像を作成するbloggerを生む可能性もあります。

既存の映像コンテンツ作成業者に求められているのは、既存のコンテンツをvodcasting用に焼き直すことではなく、新しいスタイルのコンテンツを考え、ユーザーに提示することではないでしょうか。「PodTV」がその先駆けとなることを期待しています。

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2005年10月17日 (月曜日)

ケータイRSSリーダーの可能性

高性能な携帯電話用RSSリーダーのベータテストが始まったというニュース:

RSSをフォーマットごとに自動変換--エル・カミノ・リアルの携帯電話用RSSリーダー(CNet Japan)

RSSの主要フォーマットに対応している他、RSS内に含まれる画像を携帯電話用に縮小して表示するなど、付属機能も充実しています。さらに現在、ポッドキャストや動画にも対応したリーダーをテスト中とのこと。

携帯電話版RSSリーダーは以前からありましたが(関連記事)、最近はgoo RSSリーダーの携帯電話版が発表される(関連記事)など、高性能なものも増えてきています。将来的には、RSSリーダーが標準機能として搭載されている携帯電話も普及するのではないでしょうか。さらにエル・カミノ・リアルのように、podcastingやvodcasting(vidcasting/video casting)に対応したリーダーを開発するというのも普通になるでしょう。

そうなると、日本では携帯版RSSリーダーからpodcastingやvodcastingが一般化するというシナリオも考えられると思います。iPodが爆発的な人気を誇っているといっても、全世界での出荷台数でもまだ650万台程度(関連記事)。翻って携帯電話は、日本国内での2004年度上半期だけでも2000万台以上(関連記事)。iPodの普及を待つよりも、携帯電話をpodcasting/vodcastingに対応させる方がはるかに効率的です。しかも携帯電話なら、PCにつながずに自動でデータをダウンロードすることが可能ですし。

素人考えですが、podcasting/vodcastingに対応した携帯電話版RSSリーダーというのは、大きなブレイクスルーを生む技術となるような気がします。エル・カミノ・リアルさん、ドコモやauばかりでなく、ぜひvodafoneへの対応も同時進行でお願いします。

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