クリス・アンダーソンの最新作"FREE"では、様々な「無料ビジネス」の具体例が紹介されているのですが、この事例も掲載されて良いかもしれません。ニュージーランドで、無料のレンタカーというサービスが登場したとのこと:
■ Free car rentals in New Zealand (Springwise)
紹介されているのは Transfercar という会社。なぜレンタカーが無料になるのか……というと、そこにはちゃんと仕掛けが存在します。実はこの Transfercar、レンタカーといっても自分の好きな場所に行けるわけではなく、自分の好きなクルマを借りれるわけでもありません。しかも期日まで指定されています:
ここまででお分かりになった方もいらっしゃるかもしれませんが、要はレンタカーという姿を取りつつ、実はユーザーにクルマを運ばせてしまおうというビジネスなわけですね。Transfercar は大手の(普通の)レンタカー会社と契約して、「どのクルマをどこまで移動させなければならないか」という情報を集約。それを上のようなサイトに掲載して「お客様 or 運転手」を募集し、タダで貸すかわりに指定した場所まで運んでもらう、と。
この話を読んで、「トム・ソーヤのペンキ塗り」というエピソードを思い出しました。ご存じの方も多いと思いますが、こんな話:
- トム・ソーヤが柵のペンキ塗りを命じられる。
- 彼はそれをするのが嫌だったのだが、わざと楽しそうに作業する。
- すると友達が寄ってきて、「楽しそうだからやらせて」と言う。
- トムは友達が持っているおもちゃと交換に、ペンキ塗りを代わってあげる。
- トムは嫌なペンキ塗りを逃れただけでなく、おもちゃまで手にして大満足。
視点を変えてみることで、コストだと思っていたことから価値が生まれる、という教訓(?)です。Transfercar も「あるクルマを移動させなければならない」という状況をコストと捉えるのではなく、お客様に提供できるサービスと捉えることで価値を実現しているわけですね。もしかしたら、切り出して外に出してみることで「それ、タダでさせてくれるの!?」と喜ばれるような作業、他にももっと存在しているのかもしれません。
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