僕らが薬を買うとき、何に対してお金を払っているのでしょうか?例えば僕は花粉症で、 これからの季節はアレルギー性鼻炎を抑える薬が必需品です。ある薬の中には「塩酸フェニルプロパノールアミン」 とかいう化学物質が含まれているのですが、この成分に対してお金を出しているのでしょうか。直接的にはYESなのですが、 『経験経済』の考え方を当てはめれば、本当にお金を出しているのは「花粉症を抑える」という経験を得るためです。であれば、製薬会社は薬を作って売るだけではなく、花粉症を治すこと・あるいはアレルギー症状を抑えることに関係するなら何でも製品・サービス化して提供して良いはずです。
昨日の日経産業新聞に、そんな「製薬業者のサービス志向化」 を予感させる記事が載っていました:
花粉症薬の効能 サイトでも競争 -- 製薬各社、工夫凝らす (日経産業新聞2006年2月24日第1面)
花粉症予防・治療薬を販売している製薬会社が、
相次いで花粉症に関するサイトをオープンさせているという記事です。同種のサイトはこれまでにもあったのですが、
最近は単に花粉症情報を提供するだけでなく、「花粉飛散証明書」を発行するなどエンターテイメント性を高めているサイトもあるとのことです。
以下に記事内で取り上げられていたサイトをいくつかリンクしておきます:
こうした「花粉症サイト」の目的は今のところ、アクセスを集めてブランド (個別の薬や企業全体)をアピールすることに限定されています。しかしそこからもう一歩進んで、 対価を取れるようなサイトを開設しても面白いのではないでしょうか。
例えばAという鼻炎薬を買うと、中に購入者限定サイトのURLと、 個別ID/パスワードが記された紙が入っています(ID/パスワードは登録後に変更可)。サイトにアクセスして属性情報を登録すると、 サービスがスタート。日々の症状や薬の摂取といった個人記録が残せるようになっていて、 それを居住地別の花粉飛散量や天候といった外部情報と組み合わせることができます。この個人+外部データを解析して「あなたの場合、 明日は○○時にA薬を飲むと良いでしょう」といった提案をしてくれたりするわけです。さらに欲を言えば、「B薬も併用してみてはどうですか? 」といった提案機能や、SNS的に日記機能・他ユーザーと意見交換できる機能が付いていても面白いと思います。
製薬会社にとっても、この「花粉症WEBサービス」 は貴重なマーケティングデータを得る機会になるのではないでしょうか。また残念ながら花粉症が治ることは少ないですし、 逆に毎年発症者が増えている状態です。いちどWEBサービスで囲い込めば、長期間安定したユーザーベース(?) を確保しておくことができるでしょう。
残念ながら現状ではそんなサイトは無いので、 今年も効果的な花粉症予防策を求めてさまよい歩くことになりそうです。いやまてよ、Mixiだけでも山のように「花粉症コミュニティ」 がある!今年は僕にとって、花粉症ブログや花粉症SNSに助けてもらえる「花粉症2.0」な春が初めて到来した年になるかも。
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