先月になりますが、スルガ銀行が東京ミッドタウン内に開設している「d-laboコミュニケーションスペース」という施設にお邪魔して、同行が発行している「SURUGA Visaデビットカード」についてご説明いただきました。まだまだ日本では知名度の低いデビットカードですが、スルガ銀行独自の工夫でかなり使い勝手の良いサービスとなっていますので、ちょっとご紹介しましょう。
まずはそもそもデビットカードって何?という話ですが、簡単に言えば、「支払いの瞬間に銀行口座からの引き落としが行われるクレジットカード」といったところでしょうか。クレジットの場合には「月末に締めて○ヶ月後に引き落とし」となるわけですが、そのタイムラグが発生しないカード、それがデビットカードです。諸外国では既に一般的な存在であり、米国では全決済手段の中の約17%、英国では約27%を占めているという調査結果もあります。一方で同じ調査では、日本の場合は0.3%しか使われていないという結果が出ていますから、これまで目にしたことすらないという方がほとんどではないでしょうか。
実は僕の場合、米国に留学していたころ、かなりお世話になったのがこのデビットカードでした。一般的な店舗ならほぼどこでも使えて、現金を持ち歩く必要がありません。それならクレジットカードと変わらないだろうと言われるかもしれませんが、(支払いの時点で)銀行口座にお金がなくても使えてしまうクレジットに対して、デビットの場合にはその性質上、口座に残されている残高以上の買い物をすることはできません。要はキャッシュカードで買い物できてしまうようなもので、クレジットカードを持ち歩くよりもずっと安心感がありました。特に慣れない外国暮らしということもあって、なおさら安心と便利さを実感したのかもしれません。
ともあれ米国で便利に使っていた記憶があったので、なぜ日本では普及していないのだろう?と常々疑問に思っていたのがこのデビットカードでした。特に日本人の場合、とりわけ高齢者の場合には、クレジットカードに対するネガティブな意識が依然として残っています。であれば現金決済に近い上に、「現金を持ち歩かなくても良い」という手軽さを実現できるデビットカードが好まれても良さそうなものなのに……。
その原因の1つとなっていたのが、デビットカードが使える場面が限定されているという点でした。日本のデビットカードサービスとして「J-Debit(ジェイデビット)」がありますが、利用できる時間帯に限定がある上に(クレジットカードはもちろん24時間利用可能)、加盟店の数もクレジットカードに比べて遠く及びません。2010年4月11日の日経新聞の記事によれば、ジェイデビットを利用できる店舗数は国内約33万か所で、これは電子マネーの対応店舗数(約48万か所)すらも下回ります。利用者が増えれば対応を進めようという店舗も増えるはずですが、そもそも使える店舗が少なければ積極的にデビットカードを持とうという人もいないわけで、古典的な「卵とニワトリ」の状況になっています。
実は前述のような留学時代の記憶もあって、SURUGA Visaデビットカードをご紹介いただくことになった時から既に、「どのようなサービスであっても申し込もう」と決めていたのですが、唯一心配だったのがこの利用シーンの制限という問題でした。せっかくカードを持っていても使えないのであれば、サイフの肥やしにもなりません。そこで一も二もなくこの点について質問してみたところ、問題はあっさり解決。名前に「Visa」という名前が入っていることからも分かるように、Visaカードが使えるお店であれば、同じ端末を使って処理するのでどこでも利用OKとの返事でした(もちろんウェブサイトでもOKです)。なるほど。
嬉しいことに、同じ理由で海外のVisaカード加盟店でも使えるとのこと。しかもクレジットカードと違って即日決済なので、その日の為替レートで口座からの引き落としが行われます。海外でクレジットカードを使用した場合、引き落としのタイミングが左右する「得した!」「損した!」という為替の運試しが発生するわけですが、それが回避できるわけですね。よくネット上で海外サイトから買い物をしているという方にも、メリットの大きい話でしょう。
ということで、早速ですがカードをつくり、フツーのお店で決済してみました。そのレシートがこちら:
買ったものはご愛嬌ということで(笑)。ともあれフツーのドラッグストアで買い物をして、恐る恐るデビットカードを差し出してみたところ、「ピピー!」というエラー音が鳴り響く……こともなく、あっさりと支払完了(当然ですね)。すぐにオフィスに戻り、ネットバンキングの画像を確認してみると:
おぉ、ちゃんと1万円の残高から1,659円が引き落とされているじゃないですか!これがデビットカード特有の「キャッシュカードで買い物をするような」感覚です。ちなみに先ほど米アマゾン.comでも買い物してみたのですが、81.9円というレートでちゃんと即日決済が行われていました。送料込みで16ドルのお買い物だったのですが、アマゾン.co.jpを通して買うよりも約200円分得することに。
またスルガ銀行さん独自のサービスとして、利用確認メールが指定したアドレスに送られるようになっています:
そもそもデビットカードに使う口座の残高や、利用限度額を制限しておけば、カードを盗まれても大きなダメージにはならないわけですが。こうして利用通知が来るようになっていることで、より不正使用に対する不安がなくカードを持つことができますね。
ざっと個人的に気になったのはこんなところですが、クレジットカードの場合と違って15歳以上であれば発行してもらえるなど、他の方々であればまた違った利点を感じるかもしれません。この記事はあくまで僕の感想ですので、興味のある方は公式ページの解説を読んでみて下さい。
確かに結果的に見れば、クレジットで買い物するのも、デビットで買い物するのも同じ残高になるわけではありますが。しかし「何日か後に引き落としが待っている」という前提で残高をあれこれ考えるのに慣れたアタマだと、「既に使った分は引き落としが終わっている」という仕組みは、想像以上にシンプルに感じると思いますよ。日ごろのお小遣い管理用にといったあたりから、デビットカードを導入してみるというのはいかがでしょうか。
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