CNETで、画像認識技術を応用した新しいマーケティング手法についての記事がありました:
Search technology comes to the camera phone (CNET News)
カメラ付き携帯電話で何かを撮影し、その画像を広告主のメールアドレスに送信すると、画像を認識してその内容に従ったアクションを行う、というものです。記事中で紹介されているNeven Visionの例については、既に日本語でも以下のようなプレスリリースが発表されています:
N-Vision、有名ブランド清涼飲料水メーカー向けに革新的なオブジェクト認識技術を使ったモバイルマーケティングソリューションを提供(ValuePress!)
Neven Visionのホームページはこちら: N-Vision: ニブンビジョン株式会社
ついでに、ITmediaで過去に報道された記事:
端末内の写真を“顔認識”で検索──N-Vision(ITmedia)
今年7月のワイヤレスジャパン2005で出展されていたのですね。日本では既にカメラ付き携帯電話はあたりまえの存在になっていますから、画像認識技術を応用したマーケティングキャンペーンは、すぐに一般的なものになるかもしれません。
この技術、マーケティングへの応用に止まらず、CNET記事のタイトルにあるように「検索」という観点から応用が可能なのではないでしょうか。これまでの検索エンジンでは、キーワードとしてテキストしか使うことができませんでした(キー「ワード」なので当然と言えば当然ですが)。ところが最近、gooの「あて!?メロ」サービスやVDSの音声による検索サービスなどという形で音声から検索を行うことが実用化されてきましたが、さらに画像もキーワードとして使うことが可能になったわけです。これにより、まったく新しい検索サービスが考えられます。
例えば、雑誌で好きな芸能人のインタビュー記事を読んでいる時に、彼/彼女が身に着けているアクセサリーを欲しくなったとしましょう。そのアクセサリーのブランドを知らなくても、記事に掲載されている写真を撮影し画像検索サービスに送信すれば、ブランド名/商品名はもとより、近隣で在庫があるお店まで回答することができるかもしれません。あらゆる画像を認識することは(Googleでもなければ)不可能でしょうが、例えば"Searchable Catalog"や"Searchable Magazine"などと銘打って、掲載されている写真すべてを検索キーとして使うことができる書籍を作ることは難しくないでしょう。
もしかしたらこの分野でも、主導権を握るのは検索サービス提供企業かもしれませんね。例えばGoogleが一般企業と契約、画像認識用データを全てホスティングし、Googleから検索可能にするサービス(サービス名は"Google Camera"でどうでしょう?)を始めるとか。もしくは従来の広告モデルの延長として導入しやすいかもしれませんね。例えば、ある程度一般的な対象(芸能人の顔や、新しく発売された書籍/CD/DVDの表面など)の画像認識用データをGoogleが自前で準備しておき、検索が行われた場合に広告を表示するとか(SMAPの新しいCDが検索されたら、HMVの広告が表示されるようにするなど)。いずれにせよ「画像認識=新しい検索キーワードの形」と捉えると、様々な可能性が考えられます。
さらに想像を広げれば、「あるブランドは、どこで撮影された画像が検索されることが多いか」を分析して、リアルでの広告チャネルの効果分析に用いるとか--技術の精度が上がれば、画像認識は想像以上に発展する可能性を秘めていると思います。
※12月13日追記
セガの事例がCNET Japanで報告されていました。リンクしておきます:
NTTとセガ、立体物をケータイで撮影してネットサービスと連携(CNET Japan)
こちらはNTT研究所のオブジェクト認識技術を活用した事例ですが、やろうとしていることはNeven Visionと同じですね。ただ撮影対象が「立体物」というところが「世界初」なのでしょうか。
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