あなたは出張で仙台に来ている。打ち合わせも終わり、さてホテルに戻る前に牛タンでも食べようということになったが、いかんせん慣れない街でどこに行ったらいいか分からない。ケータイで検索しようとネットにアクセスすると、そこには「仙台で人気急上昇の牛タン屋『ギュウギュウ』!あなたの位置から歩いて1分、いまなら10%OFFクーポン付き!」という広告が表示されているではないか。これは良い、とあなたは思い、広告をクリックして地図を表示させた。もちろんそこには、オンラインクーポンの画像も表示されている・・・
こんなシーンが、まもなく一般的なものになるかもしれないというニュース:
ユーザーの居場所に応じて携帯電話に広告を--「シリウスアドローカル」(CNET Japan)
携帯電話向けSNSを展開するシリウステクノロジーズというベンチャー企業によって開発されたサービスで、ユーザーの居場所に応じた広告を携帯電話に表示することが可能とのこと。サービス名は「シリウスアドローカル(Cirius AdLocal)」で、明日の12月1日より開始するそうです。
このサービス、単純に「銀座の近くにいるから銀座のお店の広告」というものではなく、表示される広告について高度なアルゴリズムを用いているそうです。正しく理解できているか分かりませんが、ポイントをまとめると:
- 広告料金は入札方式。広告主は近距離クリック単価と遠距離クリック単価(20km以上)を設定する。
- 広告の表示順序は、"AdLocal Rank"によって決定される。AdLocal Rankは広告主の想定したクリック単価とクリックレート、さらに店舗とユーザー間の距離に基づいて算出される。
- 広告が配信される範囲は、クリック率を基にアドサーバーによって自動的に計算される。
という感じになります。つまり「入札するクリック単価が高ければそれだけ広告が表示される確率が高くなるが、たとえ高い単価を設定したとしても、遠いところにいるユーザーには表示されない(単価が低くても、よりユーザーに近い広告の方がAdLocal Rankが高くなり、そちらが表示される)可能性がある」ということになるのでしょうか?(間違っていたら指摘して下さい。)
実際に広告主に売り込むためには、もう少し分かりやすい仕組みの方が良いと思うのですが(AdWords対Overtureのように、いくら優れた仕組みでも買い手に分かりやすい方が望ましい場合もあるので)、この広告モデルが一般的になるにつれて、そんな心配も無くなっていくのでしょう。またもう1つ懸念があるとすれば、検索連動型広告などでは考慮できた「ユーザーの特性」という点が無視されてしまう点。平日午後の銀座4丁目交差点であれば、街にいる人々の特性はほぼ同じ(中年女性で時間とお金に余裕がある層、といったイメージ・・・個人的に)でしょうから問題ありませんが、我が吉祥寺のように老若男女が集う街では、単純な位置情報だけでは難しい面があるかもしれません。
しかしこの広告サービス、個人的にとても良いと思います。携帯電話の大きな特性の1つに「移動性」という点があるわけですが、この点を生かしたサービスがいよいよ本格的に登場してきたという感じですね。CNETセミナーでもモバイル検索のキーワードとして「ナビゲーション」という言葉が出てきていましたが、位置情報が活用されることにより、本当の意味で「ユーザーを導く」というサービスになれるでしょう。
さらに空想すると、位置情報に加えて「時間」という要素が考慮されることになれば、究極のローカルサービスが誕生するのではないでしょうか。(オフィス街にある立ち食いソバ屋が、ウィークデーのランチタイムに客を掻き入れるために、月曜日~金曜日の午前11時~午後2時まで限定でオンラインクーポン付き広告を半径5km以内に出す、などといったイメージ。)もしかしたら、数年後のオフィスではランチタイムになると「とりあえずケータイでローカル広告(クーポン)チェック」のような光景が普通になるのかもしれません。
ところでこの広告モデル、何と呼べば良いのでしょうか?公式サイトでは「位置連動モバイル広告」と銘打たれているので、検索連動型広告になぞらえて「位置連動型広告」モデルと呼ぶべきでしょうね。
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