諸事情があり、今日はほとんどネットに接続していません。帰宅したのも午前0時過ぎ。そうするとなんとなく違和感を感じるのですが、いよいよネット依存症の初期症状でしょうか?やばい。
そんなわけで今日はほとんどニュースをチェックしていないのですが、マーフィーの法則というか、そういう時に限って面白いネタがあるんですよね。帰宅後にチェックしていて、一番興味を惹かれたのがこのニュース:
Amazonがレンタル開始――商品ではなく、検索エンジンを(ITmedia)
また同じニュースを扱った記事が、Wiredにも掲載されています。僕はこちらの記事の方が、面白い視点が入っていて好きです:
大規模ウェブ検索を安価に実現『アレクサ・ウェブ・サーチ』(Wired News)
例によって詳細情報を確認せずにコメントしてしまいますが、簡単に言えば、Alexaのウェブ検索技術(Alexaのクローラーが集めてきた生データから、インデックス、さらにはインデックスを加工したデータまで)を安価でレンタルすることができるサービスが始まるようです。ちなみに公式サイトはこちら(すみません、僕はまだ内容を確認していません):
Alexa web search platform beta
2人の青年が倉庫の扉を開けると、そこには青空の広がる外界が広がっているという、非常に象徴的な画像が掲載されたサイトです。このサービスにより、Web 2.0時代に欠かせないツールである検索エンジンが、真の意味でユーザー一人一人のものになる--そんなメッセージを放っているようです。
実際には様々な制約があるのでしょうし、利用にはそれなりの技術力も必要でしょう。また安価とはいえ、料金については
料金は、計算にかかるCPU時間、アップロードまたはダウンロードするデータのギガバイト数など、いくつかの基準から、1時間あたり1ドル、1ギガバイトあたり1ドル、というふうに選べる。ギリアットCEOは、ウェブ全体を概観するデータの取得には「2000~3000ドルほど」かかるはずだと述べている。
(Wired Newsの記事より引用)
とのことで、軽い気持ちで使えるツールではありません。
しかしこのサービスは、ITmediaの記事で揶揄されていたような「1990年代末に回帰するビジネスモデル」以上のインパクトを持つように感じます。考えてみれば、Web 2.0時代はユーザーが本当の意味でネットに参加することが可能になる時代だと言われながら、実用に耐える検索エンジンは大手数社の手にしかありませんでした。これではせっかく有益なコンテンツがコンシューマーによって生み出されても、ある一定の基準に沿うコンテンツしか見つけることができません。ちょうど、多くの才能のある画家がいながら、日の目を見るには「~展」のようなサロンに認められなければならない状況のようです。
しかし個人が自由に検索エンジンをカスタマイズできる、あるいはコミュニティレベルでそれぞれの趣旨に合う検索エンジンを持つことができれば、よりニーズに合った情報を手に入れることができるようになります。その時初めて「Web 2.0」で生み出された無数のCGMが本当に活用されるのだとすれば、Alexaのサービスは「究極のWeb 2.0サービス」とも言えるのではないでしょうか(ちゃんとサービス名に"beta"も付いていることですし)。
理想ばかり語っていてもただの夢想家で終わってしまうので、ビジネスのレベルでもちょっと考えてみます。
AlexaのサービスがすぐにGoogleやYahoo!に影響を及ぼす可能性は少ないでしょう。彼らは既に一定のステータスを持ったサービスで、ユーザーも不完全ながらこれらの検索エンジンを使う方法に慣れています。また両者ともユーザーを囲い込む(スイッチング・コストを高くする)施策を打ち出していますから、たとえAlexaのサービスを活用した画期的なエンジンが生まれたとしても、すぐにそちらに乗換えが起きる可能性は低いと思います。
しかしAlexaのサービスはいわば、検索技術を完全にコモディティ化するものであり、検索サービスのバリュー・プロポジションを大きく変化させることが考えられます。これまで検索サービスに全く関わっていなかった企業が、自社の持つユニークな経営資源を活かして、思いもよらない検索のあり方を実現する--そんな事例が増えてくるのではないでしょうか。
「例えば?」と聞かれるとツライのですが、例えば視聴率を調査する会社が、過去の視聴率データを活用して、「あるキーワードを入力すると、それに関連するテレビ番組を、視聴率を稼ぐと思われる順(出演俳優、司会者、テーマ、時間帯、地域などで判断)にソートして表示してくれる検索サービス」とか。特にオンライン化されていなくて、自社しか持っていないデータが活用できると面白いのでは。
「将来の検索サービスのビジネスモデル」という点では、Alexaのサービスも踏まえた上で、もっと詳細に検討する必要があるようです。今日は時間切れなので、また別の機会に考えてみたいと思います。
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