突然ですが、「8月25日午後3時44分を100円で売ってこい!」と言われたらどうしますか?その1分間自分が働く、とかいう意味ではなく、本当に8月25日午後3時44分という「瞬間」を売るという意味です。そんなもの売れるわけがないと思いきや、こんなサービスがあるそうです:
■ MyMinute.org - freeze your time
このサイトでは、1年間のうちの任意の1分間を、1ユーロで購入することができます。買ってどうするの?ということなのですが、購入者には専用のページが与えられ、そこに画像や動画、説明文をアップすることができます。例えば自分の結婚式で、指輪やキスを交わした瞬間の1分を購入し、そこに思い出の画像を掲載する……といったイメージ。トップページのタグラインには、こう書かれています:
Which was the best minutes of your life?
Freeze it, in the first collective, sentimental calendar
意訳すればこんな感じかな:
あなたの人生で、最高の瞬間はいつですか?
世界初の参加型センチメンタルカレンダーに、その一瞬を記録しましょう!
例えばこちらのページは7月9日午後10時41分のものなのですが、ワールドカップでイタリアが優勝した際のビデオ(YouTube)が掲載されています。残念ながら説明文およびコメントはイタリア語なので、内容は分からないのですが、このユーザー(トリノ在住のkingさん)にとって「最高の一瞬」なわけですね。他にもペットの写真や、結婚式の写真、子供が産まれた時の写真などを載せるために「1分」が買われているようです。
バカバカしい、と言ってしまえばバカバカしいサービスではあるのですが……しかし考えてみれば、「1分を購入する=人生で最高の瞬間を残す、他人と共有する」という演出をしてあげることで、心地良さというか満足感という経験を提供しているわけですよね。それって、様々な商売で行われていることではないでしょうか。例えばミネラルウォーターなどでも、味にはさして大差ないのに「○○連峰の天然水」という演出をすることで、何となく「やっぱり自然の水は美味しいなー」と感じてしまうとか。MyMinutes.org の場合には、元となる売り物が「時間」という無形のものであるために極端に感じられるだけで、商売としてはごく真っ当なことを行っているように思います。
というわけで、525,600ユーロ(約8,300万円)分の「資源」は MyMinutes.org に占領されてしまいました(まだ252分間=約4万円しか売れていないようですが)。ちょっとした加工をするだけで、人々がお金を払ってくれるような資源が、まだまだ気づかれずに残っているのかもしれませんよ。
面白い発想ですね。
でも、サービス提供者側からみると、このタイムラインは排他的ではないので、「資源」は枯渇することがないような気も…
投稿情報: p-article | 2007/08/27 09:39
p-article さん、コメントありがとうございます。
確かに排他的ではないので、MyMinutes.org を超える著明度を持つサービスを実現できれば、そちらに利用者を呼び寄せることができますね。いまなら「日本版 MyMinutes.org」ということで、日本の時間を売りに出せるかも(笑)
投稿情報: アキヒト | 2007/08/27 14:16