最近"Chasing Cool: Standing Out in Today's Cluttered Marketplace"というブランド論の本を読んだのですが、その中でバーニーズ・ニューヨークでアルマーニの商品を扱うことになったいきさつが描かれています。ある日、著者の一人である Gene Pressman さんが父親の Fred Pressman (バーニースの創業者 Barney Pressman の息子で、今日のバーニーズを創り上げた人物)に雑誌記事を見せられ、「このブランドをどう思う?」と聞かれたそうです。それこそ、まだ名前が売れる前のアルマーニ。Gene さんは「良いと思う」と答え、それがアルマーニを仕入れるきっかけになった……とのこと。ちなみにバーニースの公式ページ上では、アルマーニについてこんな言及がされています:
『ジョルジオ・アルマーニを初めてアメリカに導入したのはバーニーズ ニューヨーク』1970年代~
1976年には、革新的な才能を持つ新人デザイナーを発掘し育て続けることを標榜し、米国において初めてジョルジオ・アルマーニを紹介。アルマーニの導入によって世界最大のメンズストアとなったバーニーズ ニューヨークは、ニューヨークのファッションカルチャーの発信源としての存在を確固なものとするため、同年さらにウィメンズ部門をスタートさせました。
もちろん息子さんの一言だけで導入を決めたのではないでしょうが、"Chasing Cool"ではこの話の教訓として「もっと自社内にいる若い人々の意見を聞こう」と提唱しています。外部の知識を頼るのもいいけど、身近な存在からも重要なアドバイスが得られるんじゃない?ということですね。
で、本題なのですが、雑誌『宣伝会議』の最新号(2007年9月1日号)で「企業とブロガー~マッチポンプはあるか」という刺激的な(笑)タイトルの特集が組まれています。ただし内容はそれほど刺激的ではなく、このブログを読んでいただいているような方々には「どこかで読んだな」という内容がほとんど。ブログマーケティングとか、企業がブロガーと対峙する際の注意点とか、どれも概観をつかむような感じ。逆に全体像を知るには良いかもしれません。
こういった"overview"的な特集を組むことに価値がない、と言いたいのではありません。当然ながら、最近になって「ウチでもブロガーを気にした方がいいかな?」と感じ始めた企業もあるでしょうし。しかし、日本においてこれだけブログというものが普及したのですから、社内の若い人々の中で「ヘビーブロガー」を探すのは難しいことではないはずです。そしてそういった人々に話を聞けば、「ブロガーは何を考え、企業とどう付き合っていきたいと考えているか」はある程度把握できるのではないでしょうか。バーニーズが多くの時間とお金をかけて「アルマーニを導入すべきか否か」を調査せずとも、社内の声に耳を傾けるだけで決断が下せたように。
ということで、別に『宣伝会議』を読む前でも後でもいいのですが、企業で偉い立場に立っている方々には是非「社内でブロガー探し」をしていただきたいと思います。それだけでも随分、ズレたブロガー対応を行ってしまうリスクを減らせるはずだと思いますよ。
<追伸>
みたいもん!でいしたにまさきさんが「トクリキー」という新しい単位を提唱(?)していらっしゃいます:
■ ココロスキャン「ブログと体験」イベントはなぜ成功したのか (みたいもん!)
■ 運営側にブロガーがいることを示す指数「トクリキー」 (ネタフル)
「社内でブロガー探し」は、この「トクリキー」値を劇的に向上させる効果もあるはず、と思ってみたりして。
<さらに追伸>
"Chasing Cool"は公式サイトもあるので、一応リンクを。ご興味のある方はどうぞ:
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