※本文中、サービス名を「EverySpace」と記載してしまいました。正しくは「EveryScape」ですので、お詫びして訂正いたします。
おお、こんなサイトがあるのを初めて知りました。セカンドライフを始めとして、ネット上にバーチャル空間を作り出そうという動きは数多くありますが、現実世界を再現した上で「建物の中にまで入れる」サービスだそうです:
■ A Web Tour Will Show Stores From the Inside Out (New York Times)
紹介されているのは EveryScape というサービス。現実にある都市(現在はボストン、ニューヨーク、マイアミ、アスペンの4都市)をネット上に再現し、自由に歩きまわれるというもので、Google Maps のストリートビュー機能のような画面を想像して下さい。で、このサービスのウリが「建物の中に入れること」。もちろんあらゆる建物に入れるわけではありませんが、商業施設や観光スポットなど、いくつかのポイントで内部が見れるようになっています。
百聞は一見にしかず、ということでこちらの画面をどうぞ:
これはマイアミにある、Renaissance Resort & Spa の内部。Harry's Grille というレストランに入ったところで、白い壁とゆったりとした空間が、いかにも南部といった感じでしょうか。右側には地図が表示されるのですが、建物の中に入るとこの通り、内部の見取り図となります。
で、カーソルを使って視点を回転させると(画像はスムーズに動きます)……
この通り。後ろには絵が飾られていたのですね。またここはリゾート施設なので、こんな場所もあります:
ここでも視点を移動して、ぐるりと一周を見渡せるのですが、残念ながらビキニ姿の女性は発見できませんでした……
それはともかく、こんな感じで様々な建物の中に入ることができます(建物の外に出れば、前述の通り街中の画像が表示されます)。日本でも現実の都市をバーチャルで再現しようという動きがありますが、EveryScape はそれを一歩進めた感じでしょうか。
そして気になるビジネスモデルですが、ご想像の通り?バーチャル空間で再現した店舗から広告料を取るという形式のようです:
EveryScape is charging companies about $250 to $2,000, depending on the size of the space, to create an indoor tour of the business and to display it for a year, Mr. Oh said.
Companies that need to update merchandise regularly, like shops showing seasonal collections, can arrange package deals to include the updates for an extra charge.
Oh 氏によれば、EveryScape では(バーチャル空間で再現した)企業に対して、1年あたり250ドルから2,000ドルの料金を請求するとのこと(料金は再現した空間の広さに応じて異なる)。
季節商品を扱うお店のように、品揃えが変わったことをアップデートする必要がある企業は、追加料金で特別アップデートを行うという契約にすることもできる。
Mr. Oh とは創業者でありCTOの Mok Oh 氏のこと。観光客などが街を訪れる際の下調べとして EveryScape を使うことを見越して、企業から宣伝費を取ろうということですね。確かにアパレル系のお店であれば、1年間同じ画像を出しっ放し(冬なのに夏物ばかりの店内?)というわけにはいかないでしょう。
また EveryScape で街中を歩いていると、以下のようなメッセージを目にすることがあります:
これはボストンで Public Garden (ボストンコモンの隣にある公園)を訪れたところですが、「ここに広告を出しませんか?」と描かれています。こちらはより直接的な広告モデルで、屋外にある看板のようなイメージで広告が出せるようです。
ということで、お店の中まで見れるようにして、宣伝料を企業から徴収するというのはなかなかのアイデアですね。バーやクラブといったナイトライフ系のお店であれば、お客で店内がごった返す様子を掲載しておくだけで、大きな宣伝になるでしょうし(以下はマイアミにある"Jazid"というバーの内部):
また宣伝や観光案内を目的とするならば、例えば「東京」といった広い地域全体をバーチャル化するのではなく、「銀座」や「吉祥寺」などとエリアを限定する形でサービスを開設することができるでしょう。Google や Microsoft が同様のサービスを(既存の地図サービスにのっける形で)始める可能性もありますが、どこかの町の商工会議所(?)が中心となって、自分たちの街をバーチャル化して公開する……なんて話があってもおかしくないと思います。
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