というわけで、先週から1週間ちょっとでオランダ・ベルギー・ルクセンブルクを回ってきました。無事に帰ってきましたという報告がてら、感じたことなどとつらつらと。
【全裸と豚インフルエンザ】
旅行には iPhone を持っていったのですが、料金がバカ高くなるのがイヤで無料 Wi-Fi が捕まえられるところ以外ではほとんどネットに接続せず。なので日本のニュースは断片的にしか確認していませんでした。しかしそんな薄目を開いたような状態でも飛び込んできたのは、某アイドルグループメンバーが全裸になって逮捕されたというニュースと、例の豚インフルエンザの件。
まぁ前者はさておき(個人的には騒ぎすぎのような印象を受けたので)、豚インフルエンザは向こうでも帰国間際に話題になり始めていて、空港のテレビで流れるCNNではずっとリポートしていたほど。またそれが原因かは分かりませんが、香港国際空港でのトランジット(安かったのでキャセイパシフィックの便を利用したのです)で妙に時間がかかりました。狭い部屋で、待ちくたびれた赤ちゃんが泣きわめく中、中国の係官が一人ひとり念入りにチェックするという異様な雰囲気。疲れました。
そして成田空港で目にしたのは、サーモグラフィで帰国者/入国者のチェックをしようというカメラと、それを報じるテレビ局の取材カメラ。2つのカメラに見られる中で税関を抜けるという、これまた異様な雰囲気でした。しかし僕らが行ったのは前述通りベネルクス3国でしたので、まだそれほどチェックは厳しくなかったはず。さらにゴールデンウィーク本番になって、空港に人々が押しかけることを考えると、チェックにかかる手間や時間はより長くなっているのではないでしょうか。いずれにしても、「パンデミック」と称されるような事態にまで悪化しないことを願います。
【Wi-Fi と電源】
今回はホテルを転々とする旅でしたので、PCは持っていかず、iPhone だけを持参しました。ちょっとぐらい無料Wi-Fiが拾えればいいなーという期待だったのですが、結果は以下の通り:
■ 香港国際空港
流石と言うべきか、ちゃんと無料Wi-Fiが提供されていました(ほとんどの待合いスペースでキャッチに成功)。またちょっと分かり難いかもしれませんが、以下の写真のように無料電源スペースも用意されているほど:
こうしたスペースは1箇所だけではなく、100mに1つぐらいの間隔で設置されているのですが、結構な割合で席が埋まっていました。期待して行ったら待たされた、という状況も覚悟しておいた方がいいかも。
■ ベルギー
ブルージュとブリュッセルに滞在。どちらも無料Wi-Fiはキャッチできず。ブリュッセルでは多少有料サービスがキャッチできましたが、それほど確率は高くないという印象かなぁ。それよりもブリュッセルは想像以上に浮浪者が多く、治安も悪い印象を受けたため、あまり人前では iPhone を出しませんでした。ヨーロッパの大都市ではスリ・物乞いは珍しくありませんが(個人的にも過去に数回遭遇しています)、それでも「何かこの街は危ない」という空気を感じることが度々あったので、初めて行くという方は注意した方が良いかもしれません。
■ ルクセンブルク
1日だけの滞在ということもあり、無料Wi-Fiはキャッチできず。しかし有料サービスには数ヵ所で遭遇しました。
■ オランダ
『オランダを知るための60章』によると、
また、情報通信技術産業もこの国の得意分野であり、約1万1000社ある。通信分野は民営化しており、最新の通信インフラを提供している。そのため欧州大陸における汎欧州的活動にとって、オランダは主要な場所の一つになっている。情報・通信産業を支えるエレクトロニクスやマスメディアの分野も強固に発達し、フィリップス、オセなどの大手企業や部品企業、さらにレート・エルセフィア、ヴォルテース・クルーワーなどの出版大企業などがあり、発展のバックグラウンドを形作っている。
とのことで、そのせいか無料/有料Wi-Fiに遭遇する確率は3国の中で最高でした(あくまでも個人的な感覚ですのでご容赦を)。ふらっと立ち寄ったカフェで無料サービスが利用できた、ということが何度かあり、旅行者にとっては有難いです。特にアムステルダム市内にはホットスポットが数多く設置されている様子。
【グリーン革命】
これはブリュッセルにあるサン・ミッシェル大聖堂。の前にある広場には、こんな木組みのアーチが設置されていました。上にはフランス語で、「ブリュッセルを持続可能な都市にしよう!」的なメッセージが書かれています。というわけで、当然ながらベネルクスでも環境問題への取り組みが着実に進んでいることを度々感じました。
遅ればせながらトーマス・フリードマンの最新作『グリーン革命』を読んでいて、旅行にも持って行ったのですが、その中(下巻の79ページ)にこんな一節があります:
つぎに、デンマークやオランダなど、ヨーロッパのいくつかの国では、かなり前から炭素税を導入している。デンマークはいまや世界切っての風力タービン輸出国で、失業率は約2パーセントにすぎない。エネルギーに課税し、それによってまったく新しいクリーン・テクノロジー産業を振興させたからだ。
「環境問題への取り組みが新しい産業を創出し、それが国の競争力を高める」というのがこの本の一貫した主張。その例として欧州諸国が取り上げられているわけですが、確かに風力発電という点では、オランダを旅行中に度々大型の発電装置を目にしました。また前掲の『オランダを知るための60章』にはこんな箇所が:
また、オランダは持続可能エネルギーの開発・発電でも欧州で有力国となっている。太陽光、風力、水力、バイオ発電などを熱心に開発している。風力エネルギーでは、ラゲルウェイ、ネッドウィンド、ストーク、ロトーリンなどの研究開発企業が知られている。また、太陽光発電では研究開発の国際的な先頭集団となっている。
オランダには風力エネルギーの長い歴史がある。水を汲み上げ干拓するのは風車であったが、同時に穀物の製粉や鉱物の粉砕などにも使われた。風車はかつてこの国には一万台もあり、この国の国土を造り上げてきたが、同時に農業社会から近代的な工業社会への移行をもたらしたものでもあった。現代では、風力タービンは環境にやさしい発電施設として着実に増大している。オランダで開発されたオランダ製の発電用風車は、カナダ、中国、エジプト、ドイツ、ギリシャ、インド、イスラエル、日本、モーリタニア、スペイン、英国などの世界の多くの国で回っている。
建設関係では、スポーツ・スタジアムの建設などではバラスト・ネダムや、オランダ・ベトン・グループ(HBGb)が知られている。また、浚渫や造船企業もオランダには有力企業がある。水路、洪水対策、河川・海洋の汚染洗浄など、治水関係の有力企業があり、世界各国でプロジェクト事業を展開している。
とのこと。こんな背景が一因となっているかどうかは分かりませんが、オランダで会った地元の人々はそれほど不況を悲観視していませんでした。逆に「日本は大変なんだってね」と心配されてしまうほど。もちろんオランダには他にも様々な産業(バイオや食品など)などがあるので、一概に「環境への取り組みが経済に貢献している」とは言えませんが、こんなデータもあります:
■ Euro area unemployment up to 8.5% - EU27 up to 7.9% (dockticker)
欧州連合でユーロを導入している16ヵ国の失業率(2009年2月)は平均8.5%だったのに対し、オランダは2.7%で、16ヵ国中最低だったとのこと。オランダは貿易国なので、世界的な不況が続けば深刻な影響を受けることを免れないという予測もあるようですが、現時点では失業率を押さえ込むことに成功しているようです。
環境問題が今後どうなるかは分かりませんが、エネルギー問題や、洪水対策といった分野でオランダの技術力が世界中から求められるようになる可能性は高いでしょう。『グリーン革命』の真偽を確かめるためのケースとして、オランダは最適なんじゃないかなぁなどと感じながら、車窓を過ぎ去ってゆく巨大な風車を眺めていたのでした。
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というわけで、結論から言うと「アムステルダムに1~2年住んでみたら面白そうなだー」と感じた旅でした。甘いものに関しては、ベルギーの方が美味しかったんだけど。
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