これもひとつの「フリーエコノミー」と言えるでしょうか。メキシコ市が新型インフルエンザの影響で減少してしまった観光客を回復させるため、旅行者に無料で医療保険を提供するという施策を開始したそうです(期間は今年の年末まで):
■ Free medical insurance for Mexico City tourists (Springwise)
今月初めの話なので、日本語でも記事が出ていました:
■ メキシコ市が無料で医療保険 新型インフル、旅行者対象 (47NEWS)
新型インフルエンザに感染した場合だけでなく、ほかの病気にかかったり、事故に遭ったりした場合でも治療費が支払われる。
同市内のホテルに宿泊することが条件で、メキシコ国民だけでなく、外国人も対象。医療保険の提供は7月末から始まっており、同市は年末までに700万人が保険の恩恵を受けるとしている。
とのこと。さらに Springwise の記事によれば:
Medical assistance for any other ailment, as well as emergency hospital accommodation and dental care are also included in the policies, which are underwritten by insurance provider MAPFRE.
The insurance isn't limited to medical issues; a 24-hour call centre will also provide legal assistance in case of robbery, and will help tourists whose flight is cancelled or delayed. The centre is staffed by attendants who are fluent in English, French, German, Portuguese and Spanish, who will even book tickets for events in the city.
医療サポートは(新型インフルエンザ以外の)軽い病気に対しても行われ、緊急入院や、歯の治療まで対応している。保険はMAPFRE社によって提供される。
保険は医療関係に限定されない。盗難の場合には24時間対応のコールセンターが法律面でのサポートを行い、フライトがキャンセルされたり、遅延したりした旅行客への対応も行う。コールセンターには英語・フランス語・ドイツ語・ポルトガル語・スペイン語に堪能なスタッフを用意、市内で行われる様々なイベントの予約まで行ってくれる。
だそうで、単に「新型インフルエンザに対する恐怖を軽減するため」というだけの施策ではないようです。「フリー」で注目を集め、現地を訪れてもらい、そこで別のことにカネを使ってもらう。立派なフリービジネスの事例、しかも地方自治体が実施した珍しいケースとして、クリス・アンダーソンも太鼓判を押してくれるのではないでしょうか。
個人的にも、メキシコは一度訪れてみたい国です。まだ子供が小さいのでしばらく無理だと思いますが、できればこの施策が大ヒットして旅行者が殺到、数年間の延長が決定する……なんてことにならないかな、などと身勝手な期待をしてしまいました。これもフリービジネスの魔力?
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