古くは太平洋戦争中の空爆予告ビラに始まり、ボイス・オブ・アメリカやラジオ・フリー・アジアなど、米国政府は様々な「メディア戦略」を実行してきたわけですが、それに新たな手法が加わったようです。アラブ諸国の国民に向けたアラビア語によるTwitterアカウント、およびイラン国民に向けたペルシア語のTwitterアカウントを、米国務省が開設したとのこと。
まずはアラビア語アカウントから:
■ State Department launches Arabic Twitter feed (Washington Post)
"@USAbilAraby"(アラビア語によるUSAの意)というアカウントがそれで、現時点のツイート数は71、フォロワー数は1,144となっています:
Washington Postの記事によれば、最初のツイートの内容は「米国務省はアラビア世界におけるソーシャルメディアの重要性を認識しており、皆さんの会話に加わりたいと考えています」だったとのこと。また同記事の指摘として面白いのは、@USAbilArabyがフォーマルな標準アラビア語によってツイートされているのに対して、ソーシャルメディアを使うアラブの若者は、そうした堅い表現は使わなくなってきているという点。まさか政府機関がいきなり砕けた言葉を使うわけにはいかないのでしょうが、この辺の「空気の差」がどのように影響するのかは気になるところです。
そしてペルシア語アカウントについてはこちら:
■ U.S. State Department starts Farsi Twitter feed (CNN)
"@USAdarFarsi"(ファルシ[ペルシア]語によるUSAの意)というアカウントで、現時点でのツイート数は5つだけですが、フォロワー数はアラビア語版の倍となる2,333となっています:
自己紹介の欄には、「ペルシア語で投稿します、ディスカッションしましょう」的なメッセージが書かれているようです。また最初のツイートも、アラビア語版と同じく「米国務省はイラン国民の間でソーシャルメディアが占めた歴史的な役割を認識しており、会話に参加したいと思います」という内容だったとのこと。
米政府の思惑通り「会話」が成立するかどうかは、今後の動向次第だと思いますが。少なくともソーシャルメディアの重要性を認識し、自らそこに接近してみようとする姿勢には学ぶものがあるでしょう。仮に失敗したとしても、先ほどの言葉遣いの差のように、何かしら教訓が残るはずです。少なくとも、良くも悪くも「プロパガンダ」を実施するためには、ソーシャルメディアを無視できない時代になってきたことを象徴しているかもしれませんね。
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