こういう状況ですので日本では大きく報じられていなかったようですが、ニューヨークにあるブロンクス動物園から危険なコブラが逃亡していたそうです(現在は捕獲済み):
■ 猛毒持つエジプトコブラが行方不明 NYの動物園 (CNN)
ニューヨーク市のブロンクス動物園で猛毒を持つエジプトコブラ一匹がいなくなり、職員らが爬虫類(はちゅうるい)展示館を閉鎖して行方を探している。
(中略)
エジプトコブラはアフリカ北部に多く分布し、神経系の猛毒を持つ。かまれるとまひを起こして呼吸困難に陥り、専門家によれば人間だと15分前後、ゾウでも3時間で死に至る恐れがある。古代エジプトの女王クレオパトラはエジプトコブラを使って自殺したと伝えられる。
いや本当に大事にならなくて良かったのですが、まったく不謹慎なことに、この逃亡したコブラを名乗るTwitterアカウント(@BronxZoosCobra)が登場しているとのこと:
■ NYの動物園から脱走したコブラ、ツイッター上に現る? (AFPBB News)
こうしたなかで28日、ツイッター上にブロンクス動物園のコブラを名乗るアカウント「@BronxZoosCobra」が登場し、24時間で3万7000人のフォロワーがつく人気となっている。
自称ブロンクス動物園のエジプトコブラは、以下のような「つぶやき」を残している。
- コンピューターも持ってないし、指もないのに、どうやってツイートしてるのかってみんなが聞くのでうんざり。iPhone(アイフォーン)って知ってる?決まってるじゃない!
- ウォール街(Wall Street)から早く逃げなきゃ。ここの人たちはぞっとするわ。
などなど、けっこう洒落たツイートをしていて、不謹慎とはいえフォロワーがつくのも納得です。ちなみに現時点で21万人ものフォロワーが!
しかし猛毒のコブラが逃げ出したというのですから、ニューヨークの関係者、特に観光業に携わる人々からは「冗談じゃない!」という反応が起きるかと思いきや……そこは彼らの気質でしょうか、逆に一緒になって街の宣伝に役立ててしまうという動きが起きているそうです:
■ Bronx Zoo Cobra’s Twitter feed a perfect New York City advertisement (Washington Post)
For the past four days, @BronxZoosCobra has tweeted the length and breadth of Manhattan, making those of us outside the city limits long for Herald Square. She dined on a Magnolia Bakery cupcake. She snapped a photograph of an immigrant on Ellis Island with an uncanny resemblance to Jon Favreau. She marveled at how tiny people looked from the top of the Empire State Building (“All the people look like little mice down there. Delicious little mice”). She even made it out to Yankee Stadium for opening day. From the snake’s eye view, the city looks good and tasty.
What could have been a public relations problem for the city — Don’t travel to New York! Deadly snake on the lose! — instead wound up being a tweeting advertisement hissing the praises of the Big Apple. Who wouldn’t want to be out and about with #snakeonthetown?
Everyone wanted a piece of the snake. More than 200,000 people have started following the snake’s Twitter feed. Bergdorf Goodman offered up purses. Hilton Hotels offered up a penthouse. “Sesame Street” asked it to stop by for a visit. Even Mayor Michael Bloomberg and President Obama looked for the snake in the Museum of Natural History.
この4日間、@BronxZoosCobraはマンハッタンの至る所からツイートし、外にいる人々の憧れをかき立てている。彼女は夕食にマグノリア・ベーカリーのカップケーキを食べたり、エリス島にある移民の写真の一人がジョン・ファヴローにそっくりだと言って写真付きで紹介したりしているのだ。また彼女はエンパイアステートビルの屋上から、人々がごく小さく見えることに驚き(下にいる人々が小さなネズミに見えるわ。小さくておいしそうなネズミに)、さらにヤンキースタジアムの開幕日に潜り込むことにすら成功している。ヘビの目から見ると、この街は魅力的でおいしそうに映るようだ。
ニューヨークのPRにとってマイナスになるところだった(ニューヨークに旅行しないこと!恐ろしいヘビが逃げている!)問題は、逆に同市の素晴らしさをアピールするツイート広告として落ち着いた。#snakeonthetown(※この問題について登場したハッシュタグ)を読んで、出かけたくならない人などいるだろうか?
誰もがこのヘビを気に入っている。Twitterアカウントをフォローしているのは20万人以上。バーグドルフ・グッドマンはバッグの提供を申し出た。ヒルトンホテルは最上階の部屋を勧めている。セサミストリートも彼女に立ち寄ってくれるように呼びかけた。ブルームバーグ市長やオバマ大統領まで、ニューヨーク自然史博物館でヘビ探しをするありさまだ。
とのことで、確かに彼女(コブラ)のツイートを読んでいると、ニューヨークの名所を訪れて楽しんでいるんですよね。で、それに便乗していろいろな企業や人々が絡み、それがまた良い宣伝になっていると。うーん、それも見越して同市の観光業関係者が仕組んだアカウントだとしたら凄い。
個人的に気に入っているのは、上記の引用でも紹介されているヒルトンホテルのツイート:
「今夜ニューヨークで泊まる場所はありますか?ペントハウス・スイートをご提供できますよ。」
ヘビの「シャー!」という鳴き声(?)にかけて、スイートを「ssssuite」と書くなどノリノリです。そしてこのツイートに、コブラの方もきちんと反応しています:
「お洒落で快適な部屋ね!」
スイートルームを堪能されたようで何よりです。しかし悠長に毒ヘビで遊んでる場合じゃないだろって気もしますが、ヒルトンホテルはさらに悪ノリして、「コブラスペシャル」という宿泊プランを用意。今週金曜日の宿泊+翌日の朝食込みで179ドルで泊まれるそうです。うーん、トラブルすらも商売の機会にしてしまうアメリカ人のたくましさというか、ノリの良さというか、こういう気持ちも大切なような気がします。まぁ犠牲者が出なかったからこそ出来た行為ではありますが……。
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