米国出張でしばらく家を離れていたので、娘のご機嫌を取ろうと吉祥寺のジュンク堂へ。そこでオススメ本として絵本コーナーに陳列されていた『アライバル』を手にし、一目見て即購入してしまいました。いや、大袈裟かもしれませんがそのくらいインパクトのある絵本ですよ。
絵本と言っても内容は大人向けで、言葉は一切出てこないのですが、非常に美しく精密な絵で一人の男性、というよりも彼とその家族の物語が描かれます。原作は数年前からずっと話題になっていたようで、既に知っているよという方も多いかもしれません。何しろ絵だけで話が進むので、「え?日本版出す意味あるの?」という反応もあったようです(笑)。
できればあらすじなど読まず、僕と同様に前提知識なしで楽しんでみて欲しいのですが、ネタバレにならない程度で説明を。本書は主人公となる男性が、何らかの理由(いろいろ推察は可能ですが、何しろ文字による説明は一切無いので読者の想像に任されています)で家族を故郷に残したまま、異国の地で生活を始めるところから物語が始まります(「アライバル(arrival)」は文字通り「到着」の意味)。この「異国」の描写がまさに「異国」としか言いようがなく、何とも言えない、不思議な感覚を味わうことでしょう。著者のショーン・タン氏はオーストラリアの絵本作家なのですが、父親がマレーシア華僑・母親がオーストラリア人とのことで、この辺りの描写の巧さもそんな背景が影響しているのかもしれません。
ともあれ、そんな異国で慣れない生活を始めた男性がどんな結末を迎えるのか。チャンスがあれば、ぜひ立ち読みでも最後まで目を通してみて欲しいと思います。個人的に、本書から感じた最も大きなメッセージは「希望」でした。
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それから表紙のこの子。いいです。ぬいぐるみ作ってほしいぐらい(笑)
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