先日の社内ブログ勉強会では、様々な立場の方々からお話を聞くことができ、改めて「社内ブログ」 というシステムが持つ意味を考えさせられました。そこで再度、社内ブログが果たす役割について、自分の考えをまとめておこうと思います。 既に多くの人に語りつくされた部分も多いと思いますが、個人的なまとめということで悪しからず・・・。
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2種類の情報 - 「公式」と「非公式」
企業内には2種類の情報が存在します。1つは公式に正しいと定められた情報で、多くは文書化されています。もう1つは非公式な情報で、 ある社員の個人的な意見だったり、ある営業所で伝統的に使われている営業トークなど、必ずしも文書化されていません。これらを「形式知」と 「暗黙知」と呼んでもいいのですが、ちょっと僕の感じるニュアンスとは異なるので、ここでは仮に「公式な情報」と「非公式な情報」 と呼ぶことにします。
「公式な情報」は会社から正しいと定められた情報で、決まった使い方や定義があります。そのため分類しやすく、従来型の 「データベース」に保管しやすい情報となっています。逆に「非公式な情報」は様々な解釈が可能で、 しかもきちんと文書化されていないことが多いため、ある一定の形式に則って保管するのには適していません。
例を挙げましょう。僕は以前の会社で、新しく立ち上げるサービスの会員を集める営業活動に携わっていました。 僕は営業企画を立案する立場で、承認された企画を実行するのは営業部隊です。あるとき僕は新サービスのアピールポイントをまとめ、 資料化して配布しました。営業トークに使ってもらうためですが、実際の現場ではその資料をそのまま使うのではなく、 各営業員が自分の言葉に置き換えて(悪く言えば、自分勝手に解釈して)使っていました。 そこで僕は営業のサブリーダー的な立場の人々から話を聞き、現場で使われている営業トークの中から使えるものをピックアップして、 公式資料に取り入れて再度営業部隊に配布しました。
このようなプロセスは、どこの営業の現場でも普通に行われていることだと思います。この例の中で「公式な情報」は僕が作った資料で、 「非公式な情報」は各営業員が個人的に考えた営業トーク、ということになります。
社内ブログが補う分野
従来の情報共有システムがカバーしていたのは、この「公式な情報」の部分です。実際、 僕の作った資料は社員各自のPCからいつでも見れるようになっていましたし、営業日報ツールも導入されていました。 しかしその資料が実際に有効活用され、また現実に即してブラッシュアップされるためには、「各営業担当員の解釈」と 「営業部隊への聞き取り調査」というシステム外の活動が必要だったのです。
社内ブログはこういった「非公式な情報」の分野で効果を発揮するシステムではないか、というのが僕の意見です。従って、 例えば顧客開拓にCRMシステムを導入している会社であっても、顧客開拓プロセスの改善を目的として社内ブログを導入する、 ということも考えられると思います。
先程の例で考えてみます。まず「各営業担当員の解釈」という部分ですが、 もしかしたら僕の作った資料を見つけられなかった営業員が多かったのかもしれません。仮に僕が「新サービスのアピールポイントのまとめ」 という資料を「営業をサポートするためのツール」だと解釈し、「営業ツール」フォルダの下に保存していたとします(僕は企画担当なので、 これは会社の公式な見解だということになります---大げさに言えば)。しかし多くの営業員は「サービスを解説した資料だから、 『サービス説明』フォルダの下にあるだろう」と考え、資料を探しても見つけられずにいた、という可能性が考えられます。
ここで社内ブログがあったとしたら、僕が自分のブログの中で「この資料はここに置いてあります」といった記事や 「この資料は営業用に作られた資料ではないけど、営業トークに応用できるから皆さん読んで下さい」のような記事を書いて、 営業員を誘導することができたかもしれません。
また各営業員が自身のブログを持ち、その中で「今日はこんなトークをしてみたが、反応が良かった」「こんな質問を受けて困った」 などの記事を投稿してくれていたら、企画側の人間も「そうか、それじゃパンフレットの文言を代えてみよう」 「この資料の存在をみんな知らないみたいだ、改めてお知らせを出そう」のような反応ができたでしょう。
想像通りに行かない部分はもちろんあると思いますが、社内ブログはこのような「非公式の情報と公式の情報の橋渡し」 という働きをすることができるのではないかと感じています。ある時はまだ「知識」として集約されていない現場の声を知るために活用し、 またある時は公式の情報へと誰かを導いたり、公式の情報を本来とは違った目的で使用するために活用する。そんな意味での「橋渡し」です。
社内ブログはシステムか、それともツールか?
ここまで考えてきて、社内ブログは「システム」というよりも「ツール」と呼んだ方がしっくりするような感じがします。もちろん 「ブログ」はツールの名前ですから、社内ブログも当然ツールのはずです。しかし社内ブログというと、 何かそれ自体が独立して目的を果たすような「システム」であるかのような印象を受けます。例えば「社内ブログを導入すれば、 営業員の間でノウハウを共有する仕組みができる」というようなイメージを抱く人は多いのではないでしょうか。
しかし社内ブログは、社内の情報共有における一部の機能を担うに過ぎないのですから、それ自体で何かの目的を果たすことはできません。 また特別な目的に限定されることなく、様々な目的に使用することができます。これもよく言われる例えですが、社内ブログはシステムではなく、 Eメールに近いツールとして認識することが重要なのではないでしょうか。インフラとして整備し、 時と場合によって使い分ける---実はそんなアプローチが有効なのかもしれません。
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「社内ブログ勉強会」に参加し、プレゼンやディスカッションを通じて得たことを元に、改めて考えをまとめてみました。推敲なしの乱文・ 乱筆ご容赦を。
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