以前「様々な商品で、新しいサイズが現れている」というニュースを紹介しましたが(参考記事:「サイズの問題」)、今日はその必要性を実感するような出来事を目にしました。
あるスーパーに買物に行ったのですが、牛乳売場の前でおばあさんが店員さんに話しかけていました。「小さい牛乳のパックある?ウチは大きいパックじゃ飲まないから」とおばあさん。若い女性の店員さんは、迷うことなく「ではこちらを」と言って500mlパックを渡そうとします。ところがおばあさんは「いやいや、もっと小さいやつあるでしょ」と再び注文。けっきょく、一番小さい80mlのパックを取ってもらっていました。80mlパックも同じ売場にあったのですが、一番上の棚に小さく並べられていたために、おばあさんは気付かなかったのです(店員さんに教えてもらった後も、「それ2つ取ってくれる?」と頼んでいたほど)。
次にミネラルウォーター売場で。これも年配のご婦人だったのですが、あるお客様が「コントレックスの小さいボトルある?」と店員さんに聞いています。コントレックスとは僕も初耳だったのですが、フランスでは有名なミネラルウォーターだそうです。で、これまた500mlサイズがあり、店員さんはそのペットボトルを薦めていたのですが、女性は「500mlじゃ大きいから持ち運びづらくて。300mlサイズは無いの?」と聞き返していました(ちなみに売場には300mlペットボトルはなく、そもそもラインナップがあるかどうかも不明)。年配の女性がそんなシャレたミネラルウォーターを選んでいるのも驚きだったのですが(失礼)、300mlというごくわずかな量がその女性にはピッタリのサイズなのだということに驚きました。
高齢化社会が進み、年配の方々にあった商品・サービス開発が必要だと叫ばれています。メーカーはかなりその意識が進んできたと思うのですが、小売の現場はまだまだ遅れているのかもしれません。そのお店は比較的高齢者向けの配慮をしているのですが、それでも上記のような「高齢者が最も望むサイズを揃えていない」「揃えていてもごくわずかしか用意していない」「揃えていても高齢者が気付かない・取りづらい棚に置いている」といったミスを犯してしまっているわけです。
かく言う自分も、このような光景を続けて目にしなければ、決して「80mlサイズは下の方の棚に置くべきだ」などということに気付かなかったでしょう。また小売店には必ず「お客様の声」といった形で投書箱が設置してありますが、お年寄りが「私たちが求めているのは80mlのサイズで、それを取りやすい形で置いて」などと詳しく意見を表明するというのはちょっと想像できません。想像で考えたり、相手が意見を言うのを待つのではなく、積極的にターゲットとなる人々の行動を観察することが欠かせないのではないでしょうか。
またこの話、何も高齢者向けサービスや小売店に限った話ではないでしょう。自分達が提供しているものが、ユーザーが本当に求めていることとズレていないのかどうか、常に注意を払う必要があると思います。
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