社内ブログに社内SNS、社内ソーシャルブックマークに「社内 Twitter」まで……WEB2.0系アプリケーションに「社内」を付けるのが流行り(?)ですが、Second Life も企業に導入されるかもしれない、という話:
■ IBM's Management Games (BusinessWeek)
IBMがマネジメント教育用のアプリケーションとして、セカンドライフのようなオンラインゲーム"Innov8"(ただしスタンドアロンPCでもプレイ可能)をリリースするそうです。大学向けには無料で公開し、企業向けにはカスタマイズの程度に応じて料金設定を行うとのこと。デモ映像が YouTube にアップされているので、ご覧下さい:
ちなみに今年5月に開催された"IBM IMPACT 2007"で既に発表が行われていたのですが、その際の記事はこちら:
■ SOAはゲームで学べ――IBMの「Innov8」がお披露目 (ITmedia)
ITmedia の記事ではテーマが「SOA」に限定されていますが、BusinessWeek の記事では「IT系社員がマネジメントを学ぶ、もしくは一般社員がITを学ぶ」ためにデザインされていると書かれているので、将来的に様々な目的で使うことを想定しているのでしょう。
しかし「社内セカンドライフ」はやり過ぎだろう、と思われるでしょうか。僕も半信半疑なのですが、いくつかメリットと考えられることを挙げておきます。
(1) コミュニケーションツールとして
各所で話題の本『ウィキノミクス』に、実際に「社内セカンドライフ」とでも呼ぶべき環境を構築した企業が紹介されています。それは Geek Squad という、PCのユーザーサポートサービスを主に行っている会社(ベンチャー関係の書籍/記事で取り上げられることがあるので、ご存知の方も多いと思います)。ここでは当初、Wiki のようなコラボレーションツールを導入していたのですが、オンラインゲームの中でコミュニケーションを取る社員が多いことを知り、社内専用の環境を構築してしまったそうです。PCの専門家ばかりが集まった会社だからこそ成立した話でしょうが、小さい頃からオンラインゲームに慣れ親しんでいる世代にとっては、メールやチャット並みのコミュニケーションツールとして受け入れることができるのかもしれません。
(2) 次世代のビジネス・スキル育成ツールとして
BusinessWeek の記事では、オンラインゲームを通じて様々なスキルが磨かれる(と企業や大学教授が訴えている)ことが紹介されています。コラボレーション、コミュニケーション、リーダーシップ、情報収集などなど……そういえば以前にも、ハーバード・ビジネス・レビューで「ネットワーク・ゲームが協調性を養う」という記事がありました(詳しくはこちらを参照)。特にこれからの時代に必要となる、フラットな人間関係の中で作業を進めていくためスキル育成ツールとして、オンラインゲームは有望な存在のようです。
(3) 近未来のウェブを先取りするツールとして
同じく BusinessWeek では、ガートナーの調査結果として、「2011年までにインターネットユーザーの80%がアバターを所有する」という予測が紹介されています。当然それに伴って、いま話題となっているような仮想通貨による取引、オンラインゲームを通じたマーケティングなどビジネスに対する波及効果が大きくなるでしょう。その前に未来を疑似体験して、新しいビジネスチャンスを見出すためのツールとして使えるかもしれません。
……などといったところ。まだまだ考えなければいけない部分の多い「社内セカンドライフ」ですが、IBMが手がけたことで、日本でも興味を持つ企業が出てくるのではないでしょうか。近いうちに「社内セカンドライフ導入しました!」という記事がブログ界で持ちきりになる日が来る、ような気がします(さすがに流行はしないだろうけど……)。
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