最近いくつか Twitter の新規登録者を増やすような出来事が続いていたせいか、「参加してみたけど何が面白いのか分からない」的な議論を再び目にするようになってきていると感じるのですが、個人的には Twitter は「何が面白いのか分からないサービス」でいいんじゃないかと思ってます。
例えばウチの奥さん。僕が Twitter を使って何やらやっているのを見て、自分でも始めてみたのですが、最初はわけが分からずにつまらなかったようです。しかしゆっくりと続けているうちに、今ではフォロワーも100人を超え、夫の知らない(という表現は問題があるけど)交流が始まっている様子。
彼女が Twitter を続けるにあたって、僕は特に何の説明もしませんでした。いくつか関連サービスを紹介したりしたものの、「この人をフォローするといいよ」とか言うことはなかったし、ましてや「1,000人以上フォローしてからが真のついったー生活の始まりだ!」的なアドバイスもなし。それはまぁ、あまり相手をしてあげていなかったという申し訳ない理由が本当のところなのですが、今となっては何のアドバイスも出さなくて正解だったと思います。その理由は、「僕にとっての Twitter の楽しさと、彼女にとっての Twitter の楽しさは違うから」。
僕は仕事で使える情報が欲しい、あるいはネット上で話題になっているネタは漏らさず知っておきたいという理由から、とにかく大勢の人をフォローするというアプローチで Twitter を使っています。それが正しいかどうかは別にして、僕はいまの自分のタイムラインが気に入っていますし、実際入ってくる情報の速さ・幅広さはもはや Twitter を手放すことなど考えられないほど。しかし、逆にそれ以外の使い方や楽しみ方も考えられない状態です。
一方の奥さんはというと、美術関係なのでアートな人々を中心にフォローしていて、僕のタイムラインとは大きく異なります。しかし、それは彼女の世界。僕には感じられない価値を感じているからこそ、Twitter を使い続けているのだと思います。そして、仮に僕が「とにかく1,000人はフォローしろ!」的なことを言っていたとしたら、その価値が見つかることはなかったでしょう。
もちろん Twitter にも「おすすめユーザー」という仕組みや、Gmail や Yahoo!Mail のアドレス帳をインポートして知人が参加していないかを確認する仕組みが存在しています。しかしそれはオプションであり、「使い道の押しつけ」「フォローの押しつけ」は回避することが可能。これに対して、「いや、アカウント開設時に何らかのコミュニケーション関係を強制的につくり出す方が良い(その方が始めやすい)」 という意見を抱くか、「Twitter の楽しみ方は人それぞれなのだから、初心者といってもコミュニケーション関係の押しつけをしないのは正しい」という意見を抱くかは人それぞれだと思いますが、上のような理由から個人的には後者の方を支持しています。
もはや Twitter は、Facebook や MySpace のように特定のサービスを指すものではなく、「新聞」や「メール」などと同列に扱うことが可能な、プラットフォームとして捉えた方が良い場合が多いのではないでしょうか。そう考えれば、新しいメールアドレスを取得したときに、誰もその使い方を教えてくれることはないのと一緒の話で、Twitter がある特定の使い方を押しつけてこないのも当然の話だと考えられるのではないかと思います。もちろん「こんな使い方があるよ」というアドバイスはいくらでもしていいと思いますが、プラットフォームだという前提があることで、それ以外の使い方もできる存在なのだということが分かりやすくなるでしょう。
ということで、むしろ「何が面白いのか分からない」「けど使い続けている人も多い」というのはある意味で Twitter にとっては望ましい状態なのではないかと感じた次第です。少なくとも「こう使えば良い」の一言で済むサービスなら、今後の進化は望めないでしょうしね。
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