カメラが自動的にシャッターを切る――人間を被写体にした場合であれば、既にスマイルシャッターやらこんな製品やらが登場しているわけですが、風景写真も機械が自動的に判断して撮影するという研究が進められているそうです:
■ Robo-paparazzi learn how to take the perfect photo (NewScientist)
インドの研究者が開発中のロボット"NAO"について。このロボットにはカメラが搭載されているそうなのですが、彼(彼女?)に芸術作品における経験則「三分割法」と「黄金比」をプログラミングし、ベストショットを生み出すという試みとのこと。
これらの法則を「覚え込ませる」にあたっては、約6万枚の写真を人間が評価、その上位10パーセントを良い写真の例として分析させたのだとか。さらに撮った写真をその場で評価して、要求品質以下であれば結果に基づいて自動的に確度を修正、次のショットで改善する――という、ある意味で王道の(それを機械にさせるのが難しいのでしょうが)アプローチを行っています。
実際にはまだまだ改善すべき部分があるのでしょうし、上記の記事でも指摘されているように「そもそも優れた被写体を探す」という課題がある(NAOでは「写真を撮れ」と命ぜられた時に撮影を開始する仕組み)そうですが、ロボットが審美眼を得られるかというのは古典的なテーマですよね。手塚治虫の世界に到達するまでにはまだまだ時間がかかるにしても(あるいは決して実現されないにしても)、自分で撮影した大量の画像データをNAOに与えて、コンテストに出す一枚を選んでもらうなどといった使い方は比較的簡単にできそうです。あるいは都市景観を考える責任者が、コンペに応募されてきたスケッチの中から優れたものを選ぶために使う、絵はがきを制作する担当者が、適当な観光スポットをめぐって「売れる」作品を短期間で製造する、などなど――
しかしそうなると、辞書が使われる言葉を固定し、ある意味で変化を「冷凍」してしまうように、美しさの基準というものも画一的になってしまうのかもしれません。ああでも「岡本太郎風」とか「ロバート・キャパ風」とかバリエーションをつけられる可能性もあるのか。それに最近「後からピント合わせできるカメラ」なんて話もあったし、旅行の想い出程度であればロボットに全部おまかせ!なんて時代も来るのかなぁ。
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