SNSがブームです。数多くのSNSが生まれていることは以前からお伝えしていますし、インターネットを通じたアンケート調査では、SNSの認知度は約5割に達しているという結果が出ています(マイボイスコムの調査、参考記事:nikkei.jp「『SNS知っている』はほぼ半数も、利用者は1割に届かず」)。同調査では利用者はまだ少ないという結果が出ているものの、SNSは招待制を採用しているサイトが多いため、潜在的な利用希望者は多いと考えても良いのではないでしょうか。
一方で議論は「日本でSNSが根付くか」という点から「どうやってSNSで収益を上げるのか」という点にシフトしていきています。今朝の日経産業新聞にも、この点についてコメント記事が掲載されていました:
デジタル時評「SNS、次のビジネスモデル」(日経産業新聞2005年12月1日、第3面)
映像コンテンツのプロデュースなどを行う株式会社シンクのCEO、森祐治氏のコメントです。WEB上の記事はありませんので、簡単にポイントをまとめると:
- Mixiの会員が150万人を突破するなど、日本でもSNSの利用者が増えている。
- SNSはユーザーにとって使い勝手が良く、個人ポータルサイトとして活用され、友人を招待する動機も生まれやすい。結果、ネットワークは自己増殖的に拡大する。
- SNS市場の拡大に伴い、SNSからどうやって収益を上げるかという問題が出てきた。SNSのビジネスモデルとしては、以下のような形態が考えられる:
- 広告収入を得る
- SNSが持つデータを有料で第3者に提供する(生データをそのまま提供するパターンと、データを加工して付加価値を付けた状態で販売するパターンの両方を含む)
- SNSが持つデータを既存サービスの強化に活用する
SNSのビジネスモデルの最後の項目「SNSが持つデータを既存サービスの強化に活用する」という点については、明言はありませんでしたが、「それによって既存サービスの収益力強化につなげる」という発想につながっていくと思います。
ここでは触れられていませんが、他の可能性としては
- サービスを有料化する(「Mixiプレミアム」のように、アップグレード版のみの有料化も含む)
- 自社商品/サービスの宣伝の場として活用する
などがあるのではないでしょうか。もちろんSNSで収益を上げようとする場合ばかりではない(純粋な意味でのコミュニティとして運営する)ので、明確なビジネスモデルを持つことがSNSに要求されているわけではありません。むしろ現在の特化型SNSを見ると、コア事業の付属サービスとしてスタートするケースが多いですから、ビジネスモデルがあいまいなままで運営されるSNSの方が多いという状況が続くのではないでしょうか。
しかし森氏のコメントにあるように「いずれにしてもSNSは、単なるツールや遊びだけでは終わりそうにない」と思います。というより、いつか「単なるツールや遊びのままで良いのか?」という点を議論することが避けられなくなるでしょう。単体で収益を上げられなかったり、他サービスへ付加価値を付けることができないSNSが、バタバタと倒れていく時代が確実にやってくると思います。
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