個人的に「○○の×つのルール」っていう記事が好きなので、今回もそんな記事を紹介してしまいますが、Nicholas Carrが「ビジネスブログの7つのルール」について書いています:
Seven rules for corporate blogging (Rough Type)
いつものように?軽いイヤミから入って(今回の攻撃対象はRobert Scoble)、以下のようなルールを提示しています:
- ビジネスブログするな:明確な理由がない限り、ビジネスブログは逆にリスクを高める。
- ブログは事業利益を促進するために使うこと:ビジネスブログは企業と顧客とのコミュニケーション手段として捉えられるべきであり、(ビジネスブログの)ブロガー個人の自己表現の場ではない。
- 目標から逸れないこと:目標を明確にし、常に効果測定をすること。効果が無いのなら、やり方を変えるか、止めてしまうこと。
- (ビジネスブログの)ブロガーは慎重に選ぶこと:常に冷静でいられて、かつ自分自身の言葉に酔うことのない人物を選ぶこと。
- 「ブログ支援者」を用意すること:ブログに検閲制度は相応しくないが、ブロガーが書いた文章を、公開前に読んでチェックする「ブログ支援者(blogging buddies)」をブロガーの同僚の中から選んでおくこと。
- コメント機能には用心せよ:他人のブログにコメントを残すのは、頭の良い人々だ。しかし必ずしも全員がそうではない。スパムの対象にもなる。検閲してもしなくても、コメント機能は企業にとってリスクとなるから、停止しておくのが一番だ。
- 弁護士を呼べ:企業が社員にブログを許可した場合、書かれたことに責任を持つのは企業である。弁護士の支援を求めるべきた。
以上7つです。ビジネスブログ論には、その長所に焦点を当てて「トラックバックもコメントもすべて活用して、ブログの効果を最大限に発揮すべきだ」という立場と、短所に焦点を当てて「効果に対してリスクが大きすぎる、できるだけ止めるべきだ」という立場があると思うのですが(どんな議論でもそうだけど)、Nicholas Carrは明らかに後者の方ですね。
それぞれの項目は以前から言われていることだと思うのですが、ユニークなのは「ブログ支援者(blogging buddies)」という仕組みでしょうか。これは検閲ではなく、あくまでも投稿前の簡単なチェックというニュアンスで、ブロガーの同僚が担当すべきと書いています。
All boggers have had the experience of hitting the "publish" button too soon - and then regretting it. A second set of eyes will solve most problems before they even happen.
という部分は確かに納得。僕も「投稿」ボタンを押す前に読み返せば良かった・・・という経験が何度もあります。身近な人物に「ちょっと読んでみてよ」という感じでチェックをお願いできれば、単純なミスだけではなく、本人では気付かないような「他人を傷つける可能性のある表現」も防げるのではないでしょうか。
それからブロガーには「常に冷静でいられて、かつ自分自身の言葉に酔うことのない人物を選ぶこと(The people who blog for your company should be ones who can keep their cool - and who aren't likely to fall in love with their own words.)」という点も重要ですね。多くの場合、ビジネスブロガーは専門知識やスキルといった「能力」の面から選ばれてしまうように思います(最悪の場合は「たまたまヒマだったから」「ブログが何か知っていたから」という理由で選ばれることも)。しかし「ブログ親和性」というか、ブログを通じたコミュニケーションに適している人を選ぶという「性格」の面も重視されるべきです。実際書き始めてみないと分からない、という面も多分にあると思いますが・・・
いずれにしても、この7つのルール、改めて反芻してみる必要がありそうです。それから「企業がブログすべきでないことを示すケーススタディ」と揶揄されたRobert Scobleの反論にも注目、でしょうか。
<追記>
Rauru Blogさんが今回のScoble騒動(?)のまとめを書かれていたので、僭越ながらリンク&トラバ:
Scoble vs デマ騒動 (Rauru Blog)
Scobleにしてみれば、ブロガー相手に騒動を起こしているときに、「ビジネスブログを書くのに相応しくないんじゃないの?」と言われてよほど腹が立ったのでしょう。反論でこんなエントリをしてます:
Scoble: poster child for not blogging (Scobleizer)
「私だって人間だ!」と叫ぶ姿に、個人的には同情半分・批判半分といったところです。人間くさいところがScobleizerというブログの魅力だとは思うのですが、「暴れすぎ」と眉をひそめる人も多いでしょう。しかしこんな擁護エントリも出てきました:
Robert Scoble: Poster child for good corporate blogging (Don Dodge on The Next Big Thing)
"Microsoft Emerging Business Team"のDon Dodgeによるブログ。Scobleの同僚/友人からのエントリということで、擁護は当然かもしれませんが、Microsoft内からの支援でScobleも心強くなったかも?
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