以前「ネット上にお墓を作る」というサービスについてエントリを書いたことがありました:
■ サイバースペースと「死」 (シロクマ日報)
文字通り、ネット上にバーチャルの「お墓」が作れるサービスや、死後も保存・公開しておきたいデータを半永久的にホスティングしてくれるサービスなど、既に様々な取り組みが行われています。しかし特別なサービスを使わなくても、私たちにとって身近な存在となったSNSが、「墓地」として機能する日が来るかもしれません:
■ Life Online After Death (adaptive path)
adaptive path のブログに投稿されたエントリ。著者の Alexa さんが、不慮の事故で弟の Zach さんを亡くされてしまったそうなのですが、事故の一報を聞いて最初にしたのが「彼の MySpace のページを開くこと」。当然ながら、彼のページは事故に会う直前のままで残されていて、同じようにアクセスしてきた友人たちが彼に向けたメッセージを残していたそうです。その体験から、Alexa さんはこう述べてられています:
Though Zach is physically gone, his MySpace presence feels alive. And so people go there to “be with” Zach. Instead of talking to a tombstone in the land of the dead, it’s like you’re chatting with a friend amidst a community of the living.
Zach は肉体的には存在していないけれど、MySpace 上では生きているように感じられる。だから人々は、Zach と「一緒に過ごす」ために MySpace にアクセスする。それは墓地で墓石に話しかけるようなものではなく、人々が集まる場所で友人に話しかけているかのようだ。
確かにSNSで友人のプロフィールを目にするとき、そこには Second Life のような「動くアバター」といったものがないにも関わらず、友人の「存在」を感じることができます。自分が持つデータで思い通りにプロフィールページをカスタマイズできる MySpace なら、その思いはより強くなるでしょう。ある人物が亡くなったとき、SNSが故人を偲ぶ場所として機能するというのも、それほど不思議ではないように思います。
極論してしまうと、ユーザーに支持されるSNS(それは単に会員数が多いということを意味しません)は、「オンライン墓地」としての役割を潜在的に期待されているのではないでしょうか。もちろん運営者からしてみれば、亡くなったユーザーのためにサービスを提供し続けるというのは理不尽な話です。しかし Alexa さんとその弟さんの例のように、友人や家族が集う場所として機能しているところに、いきなりアカウント停止などの処置ができるでしょうか。また招待制を採用しているSNSの場合、亡くなったユーザーの家族・友人たちがアクセスできるように、特例的にアカウントを発行するなどの処置も求められるでしょう。「オンライン墓地」としての役割をどこまで果たすか、あるいは果たさないのか……それはSNSに限らず、今後はあらゆるコミュニティサイトが考えなければならない問題かもしれません。
また何でもビジネスに結び付けてしまってはいけませんが、アカウント停止されてしまう故人のブログ/SNSをアーカイブして、家族や友人など一部のユーザーに対して公開するサービスなどが考えられるのかも。もしくは「オンライン墓地」問題について(運営者 and/or 利用者に対して)法律的なアドバイスをするサービスとか、「まさか」の時のためにアカウントをまとめて遺族に譲渡できるサービスとか、今後「WEB2.0と死」の問題に関して様々なビジネスが発展しそうな気がします。
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