若者の車離れなんてことが叫ばれていて、実際に「2007年度末の自動車保有台数が戦後初めて前年度割れした」なんてニュースもあったのですが、それでも生活においてクルマが必要な場面は少なくないでしょう。そのためクルマを個人所有するのではなく、必要なときだけ使えるようにしようというカーシェアリングの発想が具体化しつつありますが、フランスでこんなサイトが登場したそうです:
■ Ride-sharing for package transport (Springwise)
クルマが実力を発揮する場面の1つ「荷物の運搬」という面に特化して、カーシェアリングを行おうというアイデア。Colis-Voiturage というサイトで実現されているそうなのですが、全てフランス語なので、Springwise の解説だけまとめてみると:
- まず名前や住所などの個人情報を登録して会員になる(これはセキュリティという面からも当然ですね)。
- 最近どこかに行くことを予定している場合、その行き先や予定等を登録する。
- 送りたい荷物がある場合、その行き先等を指定して検索をかける。すると、その条件に合う移動を計画している会員を見つけることができる(ヒットしない場合、新しい登録があった場合にメールで通知を受け取ることが可能)。
- 条件に合致する会員が見つかった場合、送り主と移動者の間で詳細な条件や金額等の交渉を行う。
- 現在はサイトを無料で使うことができるが、荷物を運搬する人に限り、将来的に年会費5ユーロとすることを計画中。
こんな感じ。イメージ的には、赤帽の手配をWEBで自動化したという感じでしょうか。ただし運送者として登録できるのは専門の業者ばかりではないため、安く手配できる可能性が飛躍的に高まるかもしれませんね。例えば日本の場合だと、お盆の時期にクルマで里帰りする人が多いでしょうから、こういったサイトがあれば「あ、僕の実家も近いんで、それじゃ帰る時にこの荷物もお願いします」となったりして。
実際には信頼性をどう担保するか(盗難目的で登録しようという悪人を排除できるか等)、トラブルになった場合にどう対処するか(不可抗力で荷物を壊してしまった等)、「検索しても条件にあう人が見つからない」という状況を防ぐためどこまで会員を増やせるかといった問題がありますから、すぐに「宅配はカーシェアリングで」ということにはならないでしょう。しかし最近のようなガソリン価格の高騰が続けば、宅配料の値上げも必至でしょうから、こういったサイトを利用したいという人が増えるかもしれません。クルマの所有者にとってみても、空いたスペースに何も載せずに走ってもムダなだけですから(重いモノを載せれば多少は燃費が悪くなりますが)、謝礼は少なくても運んであげるよという人が増えるように思います。
逆に(既にあるのかもしれませんが)「こんな荷物を届けて欲しい人がいます」といった感じで運送者の側にアナウンスする機能や、複数の送り主がいた場合の受け取りルートの提案、荷物の受取人も合わせて受け取り場所・方法をアレンジする機能など、さまざまな追加機能によって付加価値を出すことが可能なように思います。クルマ不要社会の実現に、一歩近づくサービスとなるのではないでしょうか。
コメント