警察が Twitter を使う。既に海外で登場している事例ですし、このブログでも1年以上前に記事を書いていますが、単なる情報発信のツールとしてだけでなく、市民やメディアとの交流に活用しようという動きが英国で登場しているようです:
■ #140con: Police test Twitter strategy (Guardian.co.uk)
ロンドンで行われたカンファレンスで、警察関係者によって行われた発言がまとめられています。お堅いイメージの警察が、実際には積極的にソーシャルメディアを活用しようとしているという興味深い内容ですので、ちょっと引用しておきましょう。
まずは Mark Payne 警部の言葉から:
"We started because we struggled to engage with young people," said Payne. "We thought Twitter, YouTube and social media, that was where they were talking. So 18 months ago we had no presence anywhere at all. But then we saw a mobile video of a murder – and none of my officers could access the social networks. In the meantime we totally unblocked the net, any officer can now go online. And let me tell you, we had tremendous success finding criminals with the help of social media."
「私たちが(ソーシャルメディアの活用を)始めたのは、若い人々との交流に苦労していたからです」と Payne 警部は説明する。「そして Twitter や YouTube などのソーシャルメディアこそが、若い人々が会話をしている場所だという考えに至りました。18ヶ月前には、我々はソーシャルメディア上で何の活動もしておらず、殺人現場を撮影したモバイルビデオを目にした時も、誰もソーシャルネットワークにアクセスできませんでした。そこでネットへのアクセス制限を撤廃し、全ての警官がオンラインになれるようにしたのです。実は既に、ソーシャルメディアの力を活用して犯罪者を摘発することに大きな成功を収めています。」
とのこと。また実際にバーミンガムで Facebook を使って捜査を行った話などに触れているのですが、たった1年半のうちにソーシャルメディアの活用術を身につけているようです。
しかし情報管理とか機密事項の漏洩防止とかはどうなってるの?と心配になりますが、逆にオープンな姿勢に転じてしまうことで、外部とのコミュニケーションや協力関係を重視するという方針のようです。例えば:
Posting on social media also changed the way that the police deal with the press, as officers used to have a lot of control. Nowadays it's different: "We post something on YouTube or Facebook and then talk to the local journalist. It is a very productive force."
Payne then outlined the next step: "We want to allow officers to talk to people in the area of social media. We want officers to talk to the public and engage with the public."
ソーシャルメディア上に情報を投稿することは、警察の報道機関と付き合い方にも変化を及している。かつてそこには、厳しい管理が存在していたが、いまは状況が違う。「YouTube や Facebook 上に情報を公開し、そして地元のジャーナリスト達と話をする。非常に生産的なやり方だ。」
Payne 警部はさらに次のステップへと進もうとしている。「我々は全ての警官に対して、ソーシャルメディア上で人々と会話することを許可したいと考えています。警官達に一般の人々と会話して、彼らとの関わりを持つようにして欲しいのです。」
とのこと。市民と協力するという姿勢は当然としても、メディアに対してもオープンな姿勢を取るというのは革新的なのではないでしょうか。この辺はソーシャルメディア時代のジャーナリズムのあり方も含めて、市民・当局・報道機関の3者がどのような関係を持つべきかという視点で考えなければならないのかもしれません。
実際にはあらゆる分野でオープンにするというのは難しいでしょうし、全ての警官がオンライン上で上手に振る舞えるわけでもないでしょう。そこには大きなリスクが存在するはずですが、かといってこの時代にオンラインを無視するということは、市民と協力するチャンスを半分失ってしまうことを意味します。英国警察の取り組みが実を結び、そして他の様々な政府機関の模範となることを願います。
「ツイッター」でビジネスが変わる! Twitter Power 小林 啓倫 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009-11-05 売り上げランキング : 2158 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
< 関連記事 >
コメント