先日発表された調査結果によると、アンケート回答者となった大学生うち、57%が「Twitterを利用したくない/利用し続けたくない」と答えたのだとか(参考)。もちろん「Twitterは万人が使わなくてはならない」なんてことはないのですが、一方でこんな研究成果もあることをご紹介しておきたいと思います:
■ Can Twitter use help improve grades? Some researchers think so (eSchool News)
Twitterを使うことで、大学生の成績アップに効果があった……という怪しい情報商材のような話。しかしちゃんとしたリサーチに基づく話で、"The effect of Twitter on college student engagement and grades"というタイトルの研究論文として発表されています。
どのようなリサーチが行われたのかというと:
One-hundred and twenty five students participated in the study; 70 of these students were required to use Twitter for educational purposes, and 55 students were asked to communicate through a traditional learning management system—in this case, Ning.
125名の学生が研究に参加した。参加者のうち70名が学習を目的としてTwitterを使うように要請され、残りの55名は従来型の学習管理システム(この場合はNing)を使うように要請された。
とごく簡単な話で、被験者を2つのグループに分けて一方にTwitterを使用してもらい、もう一方には通常の学習システムを使用してもらった、と。その結果、Twitterを使ったグループの方が、GPA(米国の大学などで使用されている成績評価方法)のスコアが約0.5ポイント上昇する効果が見られたとのことです。
ではなぜTwitterが成績を押し上げるという効果が見られたのか。その秘密は、生徒と指導者の間でコミュニケーションが深まったという点にありそうです。Twitterを使用したグループの場合、時間が経つにつれてより活発にTwitterを使うようになり、さらに:
Twitter use, while similar to chatting with faculty and students on a learning management system, proved far more interactive, according to the report. About 30 percent of faculty tweets were responses to student comments on questions. Faculty responses accounted for 1 percent of Ning activity.
研究結果によると、Twitterを使用するのは教員と学生が学習管理システム上でチャットすることに似ているが、それ以上に両者の間の交流が進んだそうでである。教員によるツイートの30%が、学生のコメントに対する返答だった。Ningを使用したグループでは、教員の返答は1%に過ぎなかった。
とのこと。Twitterが優れていたのか、比較に使用した学習管理システムがダメだったのかは検討の余地がありますが、要は学生と教員との間のコミュニケーションが進む->学習にとってプラスになるという、当たり前といえば当たり前の話ですね。
ただ当たり前とはいえ、そのような交流を生み出すことに効果があったという点は無視できないのではないでしょうか。無理矢理Twitterを使えという気はありませんが、そこでどのようなメカニズムでコミュニケーションが促されているかを分析し、教育関係のITシステムに応用するという動きが生まれても面白いかもしれません。
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