嬉しいことに、昨夜TOKYO FMの番組"TIME LINE"にちょこっと参加させていただくことができました。子供のころエアチェック(死語)していたFMに出演できるなんて胸熱……とそれはともかく、昨夜の特集は「バーチャルとリアルの境界線」。モバイル端末からネットにアクセスするのが当たり前になった時代に、リアルとバーチャルの境界は存在するのか?という話でした。
個人的には、Facebookの方でもコメントしたのですが、「リアルとバーチャル」という分類はPC時代のインターネット体験の名残だと感じています。無骨なデスクトップPCの前に座り、アプリケーションを立ち上げ、電話回線からネットに接続する際の電子音を聞きながらしばし待機する――こんな「儀式」を経なければならなかった時代には、現実世界とネット世界が分断されていて当然でした。
しかし携帯電話があれば、数秒で欲しい情報が(しかも自分がいまいる場所や置かれた状況に即した情報が)手に入る状況では、リアルとバーチャルを分けて考えろという方が難しいでしょう。ケータイ上にある情報がバーチャルだと言うのなら、文庫本から飲食店のメニューに至るまで、あらゆる紙媒体上の情報をバーチャルと呼ばなければならなくなるはずです。
とそれはさておき、昨夜ちょっと心に残ったのが、スタジオで流れた収録コメント(街角で一般の人々に「リアルとバーチャルの境界線はあると思いますか?」と質問した結果)でした。その中に、リアルを感じる瞬間として
「バイトで頑張ってお給料を手にしたとき」
「新しい出会いが生まれたとき」
という回答があり、そういう捉え方もあるのだなーと感じた次第です。
「リアルとバーチャルの境界線はあると思いますか?」と尋ねられたとき、僕の頭に浮かんできたのは、先ほど述べたような「手段の違い」ばかりでした。ネットにアクセスするのに携帯電話が使えるようになったからリアル/バーチャルの差が無くなったのではないか、と。しかし上で引用した回答が注目しているのは「手段」ではなく「結果」です。例えば「バイトで頑張ってお給料を手にしたとき」と回答した方は、仮にセカンドライフのようなバーチャル空間サービス上で何らかの報酬を手にしたとき、セカンドライフの空間すらもリアルとして捉えるのかもしれません。こうした考え方の方が、「リアルか否か」を判断するのにむしろ適しているのではないか?という評価もできるでしょう。
そうなるといくら努力しても報われない現実世界よりも、自分を評価してくれる人々と交流できる「バーチャル」世界の方に、リアリティを感じる人が増えてきたりして……なんか非常に親近感を覚える話ですが(笑)、ネット上で展開される無数の世界の中から、自分自身にとっての「リアル」を選ぶことができる時代になれば、それはむしろ望ましい状況だと言えるのではないでしょうか。
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