世はまさにアプリ時代。ゲームから勉強、運動、健康管理、さらには有権者の個人情報収集までアプリでできてしまいますが、ついに政治広告の裏側を暴いてくれるアプリが米国に登場したとのこと:
テレビの音を拾うだけで、画面上で流れているのが何の番組かを把握、その番組に「チェックイン」することを可能にするShazamというアプリがあるのですが(他にも類似アプリが存在します)、Super PAC APPも同様の解析を行ってくれます。ただし識別するのは政治的意見に関するCM。識別した上でそのCMの広告主(政治団体)は誰か、彼らはどのような主張をしていて、誰を支持しているのか、どのくらいの資金力があるのかといった情報を教えてくれる、という仕組みです。
さらに特定されたCMに対して評価(好ましい、公平である、疑わしい)を行ったり、コメントをつける機能も提供されています。なのでCMを通じて他のユーザーとディスカッションして、より関連テーマについての理解を深める、ということもできそう。
ちなみに「Super PAC(スーパーPAC)」というのは政治家の支援(献金など)を行う団体のことで、これが米国の政治にいろいろと悪影響を及ぼしていると言われています。根拠が怪しいネガティブ広告を打ちまくるというのもその一つ。というわけでこんなアプリが必要というわけですが、興味のある方はこの辺のリンクをどうぞ:
■ ことば:スーパーPAC (毎日jp)
■ 2012年大統領選、混迷の要因は「スーパーPAC」にあり (Newsweek)
Super PAC APPで提供される情報のソースとなっているのが、PolitiFactとFactCheck.orgなど政治的イシューや様々な主張の調査を行っているサービス。なので政治広告を見た瞬間に、彼らのサイトを開いて関連情報を確認すれば良いのですが、そんな手間をかける人も少ないはず――ということで、「CMを目にする>ネットにアクセスして検索する>背景情報を得る」というプロセスを簡単に行えるようにしたのが今回のアプリ、と言えるでしょうか。簡単に聞こえるかもしれませんが、AR(拡張現実)系アプリが示しているように、情報取得を楽にするという点には大きなメリットがあると思います。
ちなみにこのアプリは特定の党派を支持するものではなく、完全に中立な立場で開発されているとのこと。無料でダウンロード可能ですが広告が出ることもなく、Knight Foundationから24万ドルの助成金を得て完成したそうです。幸い日本にはまだこんなアプリは必要なさそうですが、いい加減なことを言う政治家がこれ以上増えると、似たようなアプリが開発されないとも限らないですね。
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