カメラを搭載した小型ドローンが安価で入手できるようになったおかげで、様々な活用法が模索されていますが、ベルギーのトマス・モア大学でカンニング防止のためにドローンを使い始めたとのこと:
■ Video: School uses flying DRONE surveillance to stop students from cheating in exams (Mirror Online)
こんな映像も公開されています:
ということで、こんな小型ヘリに試験が監視されるような時代になりつつあるわけですね。学生たちもうるさそうだし、まったく非人道的で、困った話だ……
と言いたいところですが、何だか変ですね。仮に監視はできたとしても、使われているDJI社のPhantomは10~15分程度しか滞空できないはずですから、少なくとも複数台用意しておく必要があるでしょう。報じてるのもデイリー・ミラー(英国のタブロイド紙)だし、少し狙いすぎた話のようにも感じます。
さらにYouTubeの字幕機能を使ってみると、オランダ語でこんなことを言っていることが分かります:
We hebben gemerkt dat dat dat beperkt de toezicht heel moeilijk voor studenten om zich te concentreren om dat tot staan te pakken rondlopen. Dat is hoestende lawaai maken omdat ze hoge hakken dragen de zware opzoeken…
これをさらにGoogle先生に翻訳してもらうとこうなります:
We have noticed that the limited oversight very difficult for students to concentrate in order to walk around to get to a halt. That is making coughing noise because they carry the heavy look high heels
うーん、どっちも自動的に生成された文章なので、かなり間違っている恐れがあるのですが……どうやら「人間だと歩く音がして学生が試験に集中できない」的なことを言っているようです。しかし映像の中では、学生たちが明らかにドローンに集中を乱されているシーンが登場するので、「ドローン使ったら意味ないじゃん!」的なツッコミを待っている状態なのかもしれません。いずれにせよ、オランダ語が分かる人だと余計に怪しいと感じる映像なのでしょう。
ということで、埋め込み映像ではなく、このビデオをYouTubeで見てみるとこんな但し書きが記されていることが分かります:
NOTE: Message to the English visitors on this YouTube video:
The whole idea of this movie was a funny experiment of some lecturers in our bachelor program Communication Management & Journalism. There's no way we will use this drone for surveillance for real, it was just A HOAX with - obviously - more impact than we could ever imagine.
英語を話す方々への注: この映像はすべて、「コミュニケーションマネジメント&ジャーナリズム」コースの一環で、実験として作成されたものです。実際にはドローンを監視のために使うという計画はありません。単なる作り話なのですが、私たちの想像を超える反響がありました。
って実験だったのかよ!他にも同大学の公式Twitter(@ThomasMoreBE)への書き込みなどの情報を総合すると、どうやら「バイラルはどのようにして起きるのか」を確認することが目的で、実際に4日間で10万回以上再生されたとのこと。僕も最初、英語圏の記事しか読んでいなくて、すっかり信じてしまいました。ごめんなさい。
しかしわざわざ英語で注釈がつくということは、それだけオランダ語圏の外で信じてしまう人が多かったということではないでしょうか。映像を作った人々も、「これならギャグって分かるよね!」という気持ちで公開していたのかもしれません。よく日本人がネタでつくった画像や映像、あるいはギャググッズが海外に紹介され、本気だと受け取られてしまうということがありますが、ちょうど同じ状況であるように思います。
というわけで、元ネタがローカルな場所から発信されたものの場合には、いつにも増して注意しましょうという話でした。反省。
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