さて問題。右にある画像を見て、どんなお店を連想しますか?もしこのマークを見て入ったお店が本屋だったら、あなたはどんな感想を抱くでしょうか。そして、それが何度も続いたら?
くどいようですが、僕はWeb 2.0が好きです。AJAXを使ったサイトは見ていて楽しいし、Google Mapをmashupしたサービスで意味無く時間を潰してしまうこともあります。しかし心に引っかかっているのは、どうもWeb 2.0という言葉が、人の目をくらますことに使われている場合が多いためです。
例えば「永遠のベータ」という言葉は、「常に進化を続ける」という思想と「ユーザーの意見を商品/サービスに取り入れる」という思想を組み合わせて、分かりやすいキャッチフレーズにしたものです。なのでその本来の意味においては、僕は「永遠のベータ」に大賛成です。しかし「この製品はベータ版だから、不具合があっても怒らないでね」という態度を正当化するためにこの言葉が使われていることが多い気がするのです(この点についてはさんざん書いてきましたが)。そこまで酷くなくても、ある種「錦の御旗」的にWeb 2.0という言葉の持つ輝きを利用している企業が、けっこう多いような気がしています。
なぜ改めてこんな話をしているかというと、今朝の新聞で「ある企業が、Web 2.0に対応したコンテンツ管理システムを開発した」というニュースを読んだから。記事によると、「情報(コンテンツ)を要素ごとに分解して管理するようにした」という点をWeb 2.0的だと言いたいようです。確かにブログや、RSSフィードを利用したパーソナライズド・ホームページサービスなどは「コンテンツ(画面上の1ページという意味で)を要素ごとに分解して管理」していますが、コンテンツをバラバラにできればWeb 2.0なんでしょうか?XMLとかで連携できなくてもいいの?
この問題、言葉の定義だけで考えてしまっては、単なる言葉遊びになってしまうでしょう。そもそもWeb 2.0は「定義の固まっていない言葉」という定義で一致しているし、もしかしたら「コンテンツを要素に分解できることこそWeb 2.0の真髄だ」と信じている人がいるかもしれません。問題なのは、それを「Web 2.0」という大きな言葉で一括りにしてしまっている点。かつて社名に「.com」と付けるだけでネット関連企業だと思わせる「小細工(汚い言葉で恐縮ですが)」が、商品/サービス名に「2.0」を付けるという形になって繰り返されている気がするのです。
複雑な商品/サービスを一瞬で理解してもらうためには、catchyな言葉、ある種の「記号」が必要になるというのは分かります。iPodも"portable digital music player "などという名前で売り出していたら、爆発的なヒットはなかったかもしれません。しかし記号と実態が乖離させてしまったら、記号自体が意味をなさなくなってしまいます。先ほどの画像はご存知の通り、理容室のサインポールですが、「中に入ったら実は本屋だった」などということが続いたら、サインポール=理容室というイメージは消えてしまうでしょう。
Web 2.0という言葉をバブルで終わらせないためにも、取り扱いには慎重であって欲しいと思います。
はじめまして。すみませんが、その記事に興味があるので新聞の名前と項数を教えて頂けませんでしょうか?
投稿情報: やまおか | 2005/12/06 17:41
やまおかさん、ページ数は忘れてしまったのですが(会社で見ていたもので、申し訳ありません)、12月6日付の日経産業新聞でした。
投稿情報: アキヒト | 2005/12/07 00:00
ありがとうございます。記事を確認しました。一般的なCMSのようですね。
投稿情報: やまおか | 2005/12/07 16:48