GoogleがWritelyを買収する、ということで話題になっていますが(参考記事:IT Pro「米Google,“Ajaxワープロ”のWritelyを買収」)、WEBアプリケーションでも十分に使えるオフィス系ツールが増えてきています。その1つ、最近「百式」や"TechCrunch"で紹介されて話題になっているプレゼンテーション作成ツール・Thumbstacksを試してみました。
バージョンアップの理由(百式)
Thumbstacks - Ajax/Flash Web PowerPoint (TechCrunch)
プレゼンテーション作成ツールとは、Microsoft Officeで言うところのPowerPointです。Thumbstacksで提供されているサンプルがありますので、まずはそちらを見てもらうと速いでしょう:
Thumbstacks.com!
非常にシンプルなツールで、PowerPointではおなじみの作画ツールやアニメーションツールが付いていません。しかし逆に作画やアニメーションがあることが、PowerPointで作られたプレゼンテーションを分かり難くしているという弊害もあるので、実はこれくらいシンプルなツールの方が良い発表ができるかもしれません。
で、僕も1つサンプルプレゼンテーションを作ってみることに。アカウント登録して"Presentation Builder"メニューをクリックすると、すぐにプレゼンテーションを作ることができます。以下のスクリーンショットからお分かりの通り、日本語もOKです(クリックで拡大):
PowerPointにある「クリップアート」的なものは無いのですが、Flickrと連動していて、Flickrにアップしてある画像を簡単に挿入できます(クリックで拡大):
前述の通り、作画ツールは装備されていないのですが、テキストの背景色とフォント色を設定することである程度のデザインが可能です(クリックで拡大):
後はデータを保存して、"Publish Presentatio"を実行すると、作成したプレゼンテーションにパーマリンクをつけて公開することができます。こうして3分間で適当に作成したサンプルはこちら:
Polar Bear Blog -- サンプルプレゼンテーション
サンプルなので、中身の質についてはご容赦を。またこれはちょっと不満な部分ですが、表示されるフレームのサイズで中身のサイズも変化してしまうので、完全なWYSWYGにはなっていません。表示された際、ちゃんと見えるようにフレームサイズをご調整下さい。
こうして作成してみると、シンプルであることはほとんど気になりませんでした。もともとあまり装飾でギラギラしたプレゼンテーションが好みではないということもあると思いますが、インパクトではなくメッセージを伝えたい人にとっては、これで十分なツールだと思います(逆に余計な機能を追加されない方がいいかも)。またWEB上にプレゼンテーションがあるということで、2つの利点を発見しました。
1. 他のWEBアプリケーションとの連動
前述の通り、ThumbstacksではFlickrと連動して写真を挿入することができます。これが意外と便利。検索機能はまだまだ不十分なのですが、例えば全社で共有する素材集をFlcikrにアップロードしておいて、そこと連動させて使うなどといった工夫ができるのではないでしょうか。またFlickr以外のWEBアプリケーション、例えばYouTubeと連携してビデオが簡単に挿入できるようになる、といった発展を感じさせます。
2. パーマリンク
これも前述の通り、公開したプレゼンテーションにはパーマリンクが設定され、他人と簡単に共有することができます。個人的な意見ですが、PowerPointを使ったプレゼンテーションで一番困ることは、プレゼンテーションを行うPCにファイルを仕込んで置かなければならないことです。当日用意していたPCが不調で、慌ててUSBメモリを使って(.pptファイルはたいていの場合重いのでメールでは時間がかかるため)他のPCに移しかえる、という経験をした人は意外と多いのではないでしょうか?
Thumbstacksなら、(インターネットにアクセスできるようにしておく必要がありますが)ファイルの移動といった手間は不要です。また発表終了後、プレゼンテーションを欲しい参加者がいた場合には、彼らにパーマリンクを教えるだけで済みます。ちなみに以下のスクリーンショットのように、出力レイアウトが指定可能な印刷機能まで装備されています(クリックで拡大):
以上2つ以外にも、百式さんで指摘されていたように、インストール不要・バージョンアップ手間要らずといった点も「WEB上にあること」の利点でしょう。
確かに現時点では、Microsoft Officeの各製品の方がWEBサービスよりも機能的に優れていることは事実です。しかしThumbstacksで明らかになったように、Officeには不要な(というより、一部のユーザーしか使わないような)機能が含まれていますし、WEBサービスはネット上にあることで生まれてくる新たな価値を提供することができます。ビジネスでもこうしたWEBサービスを活用する企業が、意外と早く現れるような気がします。
当然ですがWEBにないことの価値もあるでしょう?
主にセキュリティなどでしょうが。
投稿情報: itochan | 2006/03/10 14:45
当然「WEB上にないこと」の価値もあると思います。itochanさんの指摘されている通り、セキュリティ面を考えれば従来通りのMicrosoft Officeで、ということですよね。
しかし今後は「WEB上にないこと」のメリットもWEBアプリケーションでカバーされたり(十分なセキュリティが確保されたサービスとか)、「WEB上にあること」のメリットの方が上回ることになるんじゃないかなと思います。
投稿情報: アキヒト | 2006/03/10 15:17