今朝の日経産業新聞に、いよいよMySpaceが日本進出することが1面で大々的に報じられていました。日本のSNS業界もさらに競争が激化することが予想されますが、一方のアメリカでは、最近「アンチSNS」なるものが登場しているようです:
■ Social Network Backlash (Humor) (TechCrunch)
■ Antisocial Networking Gets Hip (WIRED News)
■ Nemester (Rauru Blog)
念のため、上記の記事で紹介されている4つのサービスへのリンクも貼っておきます:
■ Snubster
■ isolatr
■ Introverster
■ Nemester
自分の嫌いな人・物をリスト化して共有できるサービスがあったり、(オンライン上で)誰もいない場所を探したり、誰からも邪魔されないようにしたり・・・ソーシャル・ネットワーキングとは相容れない概念のオンパレードです。ジョークのサイトも含まれていますが、Snubsterなどは本気(?)でサービスを展開しています。
アニメオタクな僕としては、「ネットが進化すればするほど、孤立したいという気持ちが強くなる」というStand Alone Complexを思い出してしまうのですが:
現実世界でも、ソーシャル・ネットワーキングの流行に違和感を覚える人は多いのかもしれません。
冗談やSFはさておき、「ネットワークする」という動きは今後どうなって行くのでしょうか?確かにこれまでは「(デジタル上で)ネットワークしていない」という状態が通常であり、「デジタル・ネットワーキング」により新たな価値が生まれてきていることは否定できません。しかし、(WEB2.0信者と教祖のように)デジタル・ネットワーキングというものを盲目的に追求することがゴールとなるのでしょうか。TechCrunchのMichael Arringtonの言葉が、重要な指摘をしていると思います:
"There are all these great social networks out there -- Orkut, Friendster, LinkedIn. But for the most (part) they exist to celebrate your connections," Arrington said. "People don't really know what to do once you're connected to somebody."
デジタル空間でネットワークが構成できることは分かった。他人とのネットワークも作った。それじゃ、次に何が生まれるんだ?何をしたらいいんだ?--この問いに答えられなければ、手段が目的化していると言われてしまっても仕方がないでしょう。
またisolatrではありませんが、「ネットワークに属していない場所」の価値にも今後改めて目が向けられるような気がします。それはセキュリティーなど具体的な問題にも関連していますが、「孤独になりたい」という人間心理の問題からも求められていくのではないでしょうか。心理学や都市社会学などなどのコミュニティー理論を読んでいると、必ず「一人になれる場所」の重要性が説かれています。デジタル空間にも「一人になれる場所・自分だけの秘密の場所」を提供するという発想があっても面白いのではないでしょうか。
多様性だと思うんですよね。
インターネットという、全てが全ての人と共有される世界も良いけれど、SNSという特定の人とだけ共有される世界も別の心地よさがあるわけで、どちらか一方だけが正しいというものではないと思います。
通常の生活においても、自室やトイレのような(笑)、他者と共有しないプライベート空間もあれば、自宅のような家族と親しい友人とのみ共有する空間、オフィス、図書館、公園といろんなレベルの共有空間を使い分けているわけです。
単にみんなの目がそこに向いていると云うことが目立っているけれど、重要なのは、SNSは多様性、つまり、個人の選択肢を増やしたと云うところがキモであり、それでも良いんだという共通認識を生んだところが最大の効用だったと感じます。
投稿情報: Tiger | 2006/04/07 10:00
確かにどちらが正しいというものではないですよね。パブリックな空間とプライベートな空間、「つながっている」状態と「孤独でいる」状態、どちらも必要なものです。そしてSNSは、デジタル空間で「多数の他人とつながる」という選択肢を提供したところに価値がある、という点は仰る通りだと思います。
いまSNSに対するアンチテーゼ(冗談サイトはさておき)が出てきたのは、「みんなの目がそこに向いていると云うこと」が強くなりすぎているからなのかなと思います。面白くて使いまくってたんだけれど、「あれ?そういえばSNS参加してどうするんだっけ?」とふと考える人が出てきた、そんな感じではないでしょうか。ここいらで改めてSNSの意義と方向性を考え直してみることも重要なのかなぁと思います。
投稿情報: アキヒト | 2006/04/07 14:16
SNS というキーワードが、あまりに消費されすぎている、という側面があるんでしょうね。
『「あれ?そういえばSNS参加してどうするんだっけ?」とふと考える人が出てきた』のは、いったい、この SNS は何がやりたいんだというサービスが多くなりすぎたということもある気がします ^^;
本当の SNS の成熟は、コレを乗り越えて、誰もが意識せずに使ったり、使わなかったり、できるようになったときでしょう。
今の SNS は mixi が強すぎて、他があまり機能していないという部分が、SNS の最大の不幸かも知れません。
投稿情報: Tiger | 2006/04/10 15:40
Tigerさん済みません、承認が遅れてしまいました(スパム対策で、コメント承認制を継続中です。申し訳ありません)。
>いったい、この SNS は何がやりたいんだというサービスが多くなりすぎたということもある気がします
仰る通りだと思います。まさにSNSブームに乗って、「とりあえず作ってみました」的なサービスは多いですよね。Mixiクローンという言い方がピッタリのものも多いですし。その意味では、Mixiが成功例として認識されて、そのテンプレートを壊す動きが出てきていないことは不幸な状況だと思います。
投稿情報: アキヒト | 2006/04/13 21:00