今朝の日経新聞にも紹介されていましたが、最近日本語訳が刊行されて話題を呼んでいる『ヤバい経済学』という本を買ってきて読んでいます:
シカゴ大学のスティーヴン・レヴィット教授が書いた本で、世の中の様々な事象・出来事を経済学の分析テクニックを使って考えるという内容。ちなみに公式ブログも開設されています:
本・ブログのどちらもかなり面白いです。こういったアプローチの本(日常のなにげない事象を科学的に分析する)は珍しくありませんが、分析の過程・思考の流れというものを分かりやすく書いていてくれるので、参考にできる部分が多いのではないでしょうか。
この本の面白さを端的に示してくれているのが「相撲の八百長」という事例。日経の記事や他の書評などでも取り上げられているので、目にされた方も多いと思いますが、簡単に解説するとこんな感じ。相撲は15日間が1場所となっていて、勝ち越し・負け越しが明確に結果として残るスポーツだということはご存知の通りです。8勝7敗で終わるか、7勝8敗で終わるかには大きな差があり、負け越した力士は多くのものを失います。そこでレヴィット教授は8勝6敗の力士と7勝7敗の力士が千秋楽で対戦した場合のデータを集め、通常の対戦では両者の勝ち負けがほぼ50%であるのに、千秋楽の場合だけは7勝7敗の力士の勝率が80%に跳ね上がるという事実を発見しました。
レヴィット教授はその他、様々な角度からこの問題を検証しているのですが、
データをどういじっても出てくる答えはいつも同じだ:相撲に八百長なんかないとはとても言い張れない。
と結論付けています。さらに元力士2人が八百長を暴露して、その後2人とも謎の死をとげた事件まで記されていて、いやはやといった感じ。日本の相撲界も、まさか海外の経済書に八百長を証明されるとは思わなかったでしょう。
こんな感じで「データをして語らせる」という作業のお手本のような本。ちょうど最近、日経新聞朝刊に連載されている「やさしい経済学」を興味深く購読していたところだったので、久しぶりに経済学も勉強しなおしてみるか・・・といった心境です。
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