既に各メディアで報道されていますので、ご存知の方も多いと思いますが、Google がビデオ広告をスタートさせるとのこと:
■ Google、日本と米国でビデオ広告導入 (ITmedia)
■ グーグル、ビデオ広告配信サービスへ--米紙報道 (CNET Japan)
ちなみにビデオ広告のサンプルは以下の公式ブログで確認できます:
■ Click-to-play video ads for AdWords (Inside AdWords)
けっこう表示サイズが大きいかも(個人的な感想ですが)。報じられている通り、ビデオはユーザーが操作しないと再生されず、一時停止も可能です。またボリュームの調整も可能になっていますね。
詳しい解説はリンク先の記事を読んでいただくとして、果たしてこのサービスはどこまで成功するのでしょうか。確かに「マウイ島にある小さなリゾートのオーナーがビーチサイドにある自社の素晴らしい不動産物件を撮したビデオを持っている」ようなケースなら、そのビデオですぐにビデオ広告が始められるかもしれませんが・・・現在 AdWords を利用している数多くのロングテールな企業(Google の AdWords 収入の中でロングテールの位置にいる企業という意味)は、すぐにはビデオ広告に移行しない気がします。
もちろん「このサービスは既にテレビCMなどのコンテンツを持っている企業・コンテンツを作る体力のある企業を対象にしている」という反論や、「今すぐは停滞しても今後は増加するだろう」といった予測は可能ですが。また AdWords は単なる出発点であり、今後は投稿されたビデオ広告をテレビCM枠で放映するサービスや、Google Video などのビデオ共有サイトで優先的に表示するサービスを始めるのかもしれません。いずれにせよ、このサービスを始めることで Google が必要とするコストは低いでしょうから、利用者が少なくてもテストデータが拾えればそれでよし、なのかもしれませんが。
一方、TechCrunch でもこんな否定的な記事がポストされています:
■ Google PPC Video Ads - I’m Betting Against It (TechCrunch)
ここでは6つのポイントが挙げられているので、簡単にまとめてみると:
- テキスト広告よりもクリック率が上がるというデータは無い。
- ビデオ広告の場合、最初のクリックはビデオを再生するもので、広告主のサイトにジャンプするわけではない。ROI計測が困難になる。(※ただし ITmedia の記事によればビデオ再生率も把握できるはずなので、この批判はちょっと?ですが)
- 既に SpotRunner など、中小企業向けのテレビ広告サービスが存在している。しかも安価。
- ユーザーはビデオ広告なんて見たがらない。見たくなるようなビデオ広告は、お金を払って広告枠を買わなくても、バイラルで広まる。
- ビデオ広告を作るのには労力が必要。
- 以上のポイントは、クリックスルー率を下げることにつながるので、通常のテキスト広告より高くつくことになるだろう。
こんな感じです。中には時間が解決してくれそうなものもあるので、やっぱり「将来的に増加することは否定できない」という感じですが、すぐに AdWords がビデオ広告で埋め尽くされるという可能性は低そうですね。
個人的には「4. 人々が再生したくなるようなビデオはお金を払わなくても広まる」というポイントにはなるほどなぁと感じました。確かにお金を掛けて面白いビデオを作れば作るほど、それを広めるコストは低くなる可能性があるのかも(逆に面白くないビデオはいくらお金を払って広告枠を買っても、広告としては役立たないということですね)。
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