オルタナティブ・ブログの方でも書いたのですが、昨日は書店に立ち寄って『POST‐OFFICE―ワークスペース改造計画』という本を買ってきました。オフィスやワークスペースを新しくするデザインのアイデアを集めた本なのですが、WEB2.0的というか、多くのユーザーがコラボレーションするWEBサービスを考えている人にとっても参考になるアイデアが満載です。こっそりパクって実現してしまいたいくらい。
で、その中から1つネタを拝借。まずは僕のオフィスで発生している問題の解説から。
僕の会社は規模を急拡大していて、毎月新しいコンサルタントを迎えている状況です。当然、社員の顔と名前を一致させるのは一苦労。電話で「○○さんいますか?」と聞かれても、すぐに答えられず庶務の女性が苦労しています。
社員の在席状況を把握する仕組みが無いわけではありません。デジタルではWEBベースの予定管理ツールが導入されていますし、アナログでは昔ながらの「行動予定表(ホワイトボードに名前がプリントされたマグネットが貼られているもの)」が壁にかけられています。しかしどちらも入力しづらく(予定管理ツールはログインとキーボードからの入力が必要で、ホワイトボードの前にはプリンタ類が置かれていて手を伸ばさないと書き込めない)、キチンと予定を書き込んでいる人は皆無といった状況です。
入力が簡単で、社員の在席状況を簡単に把握できる仕組みは考えられないでしょうか?
とまあこんな問題があるのですが、『POST-OFFICE』の中にこれを一発で解決してくれるようなアイデアが載っていました。それは、「みんなに個人用マグカップを持ってきてもらい、それを壁に掛けられるようにしておくこと」です。こうしておけば、「マグカップが壁に掛かっている→その人は社外にいる」「マグカップがない→在籍中」と一目で分かるというもの。なるほど、これならシステムにログインすることも、ホワイトボードに書き込む必要もありませんから、仕組みが使われない可能性は下がるでしょう(無料でコーヒーや紅茶が飲めるようになっている必要はありますが)。
しかもこの仕組みにはもう1つ利点があります。それは持ってくるマグカップによって、その人の個性が分かること。これは単純なきっかけかもしれませんが、「○○さんってこんな趣味だったんですね」というところから話が広がる可能性もあります。イントラネットにアクセスして、メニューの奥の方に保管されている無味乾燥なプロフィールなどよりも、よっぽど社内のコミュニケーションを活性化してくれるのではないでしょうか。
もちろん複雑な予約管理システムや、社員情報管理の仕組みを否定するつもりはありません。「壁に掛かったマグカップ」が伝えられる情報などたかが知れています。しかしある場合には、こんなちょっとした仕組みによって、一石で二鳥や三鳥も効果を狙えるのではないでしょうか。たまにはシンプルに考えてみること -- この本が教えてくれる一番有用なアイデアは、実はこの点にあるかもしれません。
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