最近バージョン3がリリースされ、テクノロジー以外の話題も扱えるようになった Digg.com。多くのユーザーからの投票によって話題の記事が選ばれるシステムは、まさに「集合知」といったところですが、「話題」となる記事を選んでいるのは意外にもごくわずかな人々のようです:
■ Top 100 Digg Users Control 56% of Digg's HomePage Content (SEOmoz Blog)
Digg では登録された記事はまず"Upcoming Stories"のページに表示されます。そこで多くの投票(digg)を得た記事が、晴れて"Popular Stories"のページに移るのですが、この"Popular Stories"に選ばれる記事のうち約20%は20人のユーザーによって登録されたもの、とのこと。同じく56.41%の記事が100人のユーザーによって登録されているのだそうです。
これは何を意味するのでしょう。考えられる仮説としては、
- (記事で指摘されているように)トップユーザーは多くのユーザーから「友人」登録されていて、記事への投票が集まりやすい=Popular Stories の登録ユーザーはさらに「友達」登録されてゆくため、一部のユーザーにますます digg が集中する仕組みとなっている
- 「友人」登録していなくても、よく見かけるなじみのユーザー/有名人が登録した記事には、反射的に digg してしまう
- トップユーザーは面白い記事を探す「嗅覚」を持っている
- 実は「登録」という行為に及ぶユーザーは少なく、多くの Digg ユーザーは ROM しているだけか、参加したとしても digg するだけである
- "Top Digger"に選ばれたいという欲望を持つ人々がいて、そんな人々が不正な手段(リアルな友人たちに digg してもらうように頼むとか)に頼っている
こんなところでしょうか。個人的には「 Digg の仕組み的に『digg されやすいユーザー』というものが生まれやすくなっているのだ」という説明に納得していますが、3.のように「嗅覚」を持った人も少なからず存在しているように思います。いずれにしても、Digg などソーシャル・ブックマーク系の記事がどのような力学で「人々が面白いと見なす記事」を生み出しているのか、じっくりと研究してみても面白そう。
翻って日本の「はてブ」。もちろん Digg とは異なる仕組みですが、同じような分析をしてみても興味深いかもしれませんね。例えば現在見れるようになっているのは「人気ブックマーク」だけですが、ブックマークユーザー数が多い記事をたくさんブックマークしているユーザーのランキング、なんてのを見れるようにしても面白いかも(その場合は「自分が最初にブックマークした記事しかカウントしない」などの制限をかけないと、ランクイン狙いで人気記事を片っ端からブックマークする輩が現れそうですが)。
ただ個人的で勝手な印象としては、はてブでは「○○さんがブクマしているから僕も(未読だけど)ブクマしとこう」という傾向(つまり Digg でいうところの「○○さんが登録した記事だからとりあえず digg しとけ」みたいな傾向)は弱いのではないかと感じています。はてブでは意外と?記事の内容をよく読んで「自分もブックマークするかどうか」を決めているような(あくまでも根拠の無い印象ですよ)。ただこのブックマークのように、最初のブックマークが登録されたのが2005年8月17日なのに、9つ目のブックマークが2006年7月20日に登録されるや否や、たちまち300ブックマークに到達するという動きをするのは理解できませんが・・・。
こうしたブックマークの動きをシステムの仕組み・ユーザー同士のつながり・管理者のポリシーなどから分析したら1冊の本になりそうですね。題して『ソーシャルブックマーク社会学』。どなたか僕に書かせて下さい。いや、やっぱり大変そうだから誰か書いて下さい。
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