「・・・船山に登る」がことわざですが、海外でも同じようなことを考えている人がいるようで:
■ How to Ruin a Web Design - The Design Curve (SEOmoz Blog)
「WEBデザインを台無しにするには」というタイトルの記事。WEBデザインに関する"Design Curve (デザインカーブ)"という概念を提唱しているのですが、説明よりもグラフを見てもらった方が早いでしょう(下図は上記の記事を基に作成したもの):
要は他人に批評されればされるほど、WEBデザインのクオリティは下がっていくという話。特に批評家が5人以上集まった場合、クオリティはゼロになる!と訴えています。ただしここで言う「他人」とは「誤ったタイプの人々」のことで、以下のように定義されています:
- かつてビジュアルデザインに携わったことの無い人
- 1996年のデザイン・トレンドがいまだに受け入れられると思っている人
- 自分ではデザインの経験が無いのに、単にそれが可能だという理由で(もしくは義務感から)プロジェクトを独裁しようとするマネージャー層
- 先端のWEBを使っているからという理由で、デザインにまで口出ししてくるユーザー
最後の一行にドキッ。確かに「素晴らしいデザインのWEBサイトを使いこなしている=素晴らしいWEBサイトをデザインできる」ではないですよね(いろいろ口出ししてしまってごめんなさい)。一方、「正しいタイプの人々」はというと:
- 職務上の肩書きに関係なく、デザインすることに優れた素質のある人
- 実際の経験から適切なアドバイスが行える、ユーザビリティの専門家
- 建設的な批判ができる人
- 何のためにデザイナーを雇っているのかを理解している人(役割分担というものを理解している人)
とのこと。これらの話はWEBデザインに限ったことではなく、クリエイティブな成果物を残すことを要求されているプロジェクトに広く当てはまるかもしれませんね。
今日の日経新聞には「主要商品・サービスシェア調査」が掲載されているのですが、その中に「ちょっとした工夫がヒットにつながり、首位が交代したケースが今回調査では目立つ」という解説がありました。そんな「ヒットにつながるちょっとした工夫」が生み出せるかどうかは、発想力豊かな社員がいるかどうかではなく(大企業であれば優秀な社員の一人や二人見つけるのは難しくないでしょう)、「正しい人々がプロジェクトに加わっているか/誤った人々によってクリエイティビティが傷つけられていないか」にかかっているのかもしれません。最近、「アイデアを出すこと」ではなく「実行すること」をテーマにした書籍が増えているのにも、そんな理由があるのかも。
きょう、ここに船山は人々がデザインしたかった。
投稿情報: BlogPetのマロル | 2006/07/25 12:50