一口に「検索」と言っても、その行動パターンには様々な種類がある・・・ことは様々な記事で指摘されていますし、感覚的にも「正しい」と感じることでしょう。で、それを4つに分類して検証している記事を見つけたので、ちょっと解説:
■ Four Modes of Seeking Information and How to Design for Them (Boxes and Arrows)
情報アーキテクチャ関係の知識が揃っている Boxes and Arrows のサイトから。今年3月の記事なので、既に目にしている方も多いかも。
タイトルにもなっている、「情報を検索する際の4つのタイプ」とは:
- 「知っていること」検索
(例)Katharine Kerr の新刊は出ているか?
□ ユーザーは何を知りたいか分かっている
□ それを表現する言葉を知っている
□ どこから調べ始めたら良いか分かっている可能性がある - 探検型検索
(例)好みに合う音楽を見つける
□ 何を知りたいか部分的に分かっている
□ しかしそれをどう表現すれば良いか分かっていない
□ どこから調べ始めれば良いかも分かっていない
□ 答えを目の前にすれば、それが答えだと分かるが、十分な情報を見つけたかどうかは分からない - 「知らないこと」検索
(例)特定業界の最新動向をチェックする
□ 何を知りたいのか分かっていない
□ どこまで調べれば良いかも分かっていない
□ 特にこれといったゴールの無いまま、サイトを探り続ける - 再発見型検索
(例)過去に読んだ記憶のあるニュースを探す
□ 既に見つけたものを再び探す
□ どのサイトで見たか、いつ見たかなど、断片的な情報を持っている
の4つ。それぞれについて、ユーザーをサポートするためにサイト上でどのような工夫・解決策が考えられるか解説されています。時間のある方はチェックしてみて下さい。
・・・とこの記事を読んでふと思ったのですが、自分のサイトのユーザーがどのタイプの検索をしようとしているのか把握し、それをどこまでサポートするか決定するのは、簡単な話ではないですよね。運営者としては1.の使い方をして欲しいのに、一部のユーザーから3.の使い方ができるように求められたとしたら、そのニーズは強くなる傾向にあるのか?果たして対応するべきか?を判断するのは非常に難しいでしょう。
例えば某小売業者サイトの中にあるレシピコーナーでは、材料(キャベツ、豚肉、味噌など)をキーワードにして検索すると、その材料を使うメニューが一覧表示される(メニューをクリックすると作り方紹介ページへジャンプする)という仕組みになっています。これは検索タイプ(1)の範疇に入るニーズですよね(「キャベツと豚肉と味噌で作れる料理」が知りたい、と分かっているので・・・ちなみにコレで回鍋肉が作れます)。しかし「食材は決まっていないけど、今夜の夕飯を探したい」という(2)型のニーズがあるとしたら、このパターンの検索ができるようにすべきでしょうか?
仮に「そりゃーいきなり食材からレシピを考える人は少ないよな。よし、今夜の献立を考えるのに役立つサイトにしよう!」という決断が下ったとしたら、何を基準に検索させるべきしょうか(食材のトータル価格で検索できたり、調理に必要な時間で検索できたりなど)。また「食材以外のキーでもレシピ検索できるようにする」というニーズであれば、それなりに大きいだろうと想像できますが、「日本の典型的な料理が知りたい」というような(3)型のニーズがお客様から寄せられたとしたらどうでしょうか?「そんなの範疇外だよ・・・」と言われるかもしれませんが、もしかしたら(1)~(4)全てのニーズをサポートして、一大レシピサイトとして独立させる道も考えられるかもしれません。
とまあ、サイト内の情報をどう検索してもらうかという議論は尽きることはないのですが。せめてこの4パターンに類型化して、議論の方向性を整理するだけでも、必要な調査や決定はしやすくなることでしょう。ウチのサイトもコレで改善されると良いのですが・・・。
相変わらず情報キャッチというか探索力すばらしいですね。
#小林さんのブログは佐々木さんのブログと並んで私のKM業務遂行のためのシンクタンクになっています(^^)
従来IA(インフォメーションアーキテクチャー)の分野では、検索は3パターンとされていましたので4つに分けたのは珍しいと思います。ちょっと今手元に文献は無いのですが、多分上の2と3は一緒になっていたと思います。
投稿情報: yoshikawa | 2006/09/19 21:57
吉川さん、佐々木さんとまで並列して頂いて恐縮です。最近ぬるめの話題が多くなってしまっているのですが・・・その辺は「あぁ仕事してるフリをするのに忙しいのだな」と思って許してください。
> 検索は3パターンとされていましたので4つに分けたのは珍しいと思います。
なるほど、従来は3つにまとめられていたのですね。確かに2.と3.は近い内容で、違いは「ゴールの有無」というだけのように見えます。明確な区別がつかないケースでは、1つにまとめて考えた方が分かりやすいかもしれませんね。
投稿情報: アキヒト | 2006/09/20 14:12
お久しぶりです。
先日ITMediaのポッドキャスティングの録音を終えてきました。その中の第2回でこのエントリーについて紹介させていただきましたので、一応ご報告差し上げます。
投稿情報: yoshikawa | 2006/12/09 13:13
吉川さん、収録お疲れ様でした。
ご紹介ありがとうございます!第2回の公開、楽しみにしていますね。
投稿情報: アキヒト | 2006/12/11 11:33