どんな仕事をしていても、急に新幹線パーサーの役を頼まれることってありますよね。「おーい、明日は新大阪まで車内販売をしてきてくれ」 といつ上司に言われてもいいように、平均の3倍ワゴン販売できる5つの秘訣を覚えておきましょう:
1. 事前リサーチは欠かさずに
自分の売り物を理解していなければ、適切な商品をおすすめすることはできません。それは甘いのか、辛いのか。好評だったり、ネットで話題になっている商品はあるか。事前リサーチが全ての出発点です。
2. お客を見よう
ワゴンやトレイに何を積むかは、ある程度パーサーの判断にまかされています。しかしお客様のことを知らなければ、適切な商品を選ぶことはできません。出張から帰るサラリーマンにはビールを、観光客や帰省客には名産品をなどなど、彼らが何を欲しているのか考えましょう。また時間帯によって、客層は変わります。いまどんなお客様がいるのか、これからどんなお客様が増えるか、よく考えましょう。
3. 人は新発売に弱い
人は新しいもの好き。「新発売の商品ですよ」と一声かけて、おすすめしましょう。もちろんオススメするためのリサーチも忘れずに。
4. 車内で必要なものだけが売れるとは限らない
お客様は車内で消費するためのものだけを買うとは限りません。お土産はその良い例です。他にどんなニーズに対して売り込むことができるのか考え、対応する商品を準備しておきましょう。
5. 仲間との情報共有を大切に
乗務前と乗務後にパーサーが集まるミーティングルームには、「こんなことをしたらお客様が喜んでくれました」というタイトルのシールが貼られたファイルが置かれています。どんなに頑張っても、個人ができる体験には限りがあるもの。積極的に他人からの情報を受け入れ、自分も情報発信しましょう。
6. 記録は宝
データを記録して、後で参照すれば、「この前乗ったときは、最初の1~2時間にお茶がよく売れたんだった」などのような知見を得ることができます。こまめに記録、そしてこまめに参照する習慣を。
7. お客を不安にさせない
「乗り過ごしたらどうしよう」「もうすぐ目的地かもしれない」などと不安になっていては、お客様は悠長に買い物などしようとは思いません。お客様に気持ちよく過ごしてもらうために、業務(物を売る)以外のケアもしましょう。例えばお客様から「小郡駅は何時に着きますか?」と聞かれて、「えっ、そんな駅ありませんよ」と答えたらアウト。「小郡駅は新山口駅に名前が変わりました。15時45分に到着予定です」と答えましょう。
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先日のシロクマ日報でも書きましたが、最近『新幹線ガール』という本を読みました。著者の徳渕真利子さんは新幹線パーサーで、アルバイトから正社員となり、その年に全パーサーの中で売上No.1の座に輝いたという方。本の内容はパーサーという仕事についてありのままを語られたものですが、参考になる点が数多くありました。
しかしアマゾンの書評などを見ると、「どうしたら売れるか、売る技術を掘り下げて欲しかった」という声もあるんですよね。確かにその通りなのですが、この本は経営の理論家が書いたものではなく、あくまでも徳渕さんという一人のパーサーが自身の仕事について語った本。「普遍的に役立つ知恵を出せ」という態度ではなく、読者が自身の仕事に置き換えて考えてみなければならないと思います(もちろん「ビジネスに役立てよう」などという不埒な?態度で読まなくても、十分楽しめる本です)。
というわけで、自分がこの本から得たアドバイスを上にまとめてみました。もっと普遍的な言い方をするなら、
- 事前の情報収集を欠かさないこと
- 誰が顧客か、顧客のニーズは何かを把握すること
- 顧客は新しいモノ/サービスに関心があるという点を忘れないこと
- 目の前にあるニーズだけを追わないこと
- 情報共有/情報発信を忘れないこと
- 行動記録を取り、分析して役立てること
- 顧客と良好な関係を築くために、可能な限り業務外の要求にもこたえること
こんな感じですかね?いや、やっぱり抽象的な言葉にしてしまうと、心に残らない感じがします。興味のある方は、ぜひ本をチェックしてみて下さい。
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