例えば「日立の製品は安くて質が良い」と書いても誰も信じてくれないわけですが、そんな「個人的意見」でも繰り返し言い続けると……
■ People Often Think An Opinion Heard Repeatedly From The Same Person Is Actually A Popular Opinion (ScienceDaily)
「同じ人から何度も同じ意見を聞かされると、それがポピュラーな意見だと信じてしまう」とのこと。"Journal of Personality and Social Psychology"の最新号に掲載されている研究結果だそうですが、どんな内容かというと:
- ハーバード大学など6大学1,044人の学生を対象に行われた実験が行われた。
- 学生は「3人から意見を聞かされるグループ」「1人から意見を聞かされるグループ」「(1人から)繰り返し意見を聞かされるグループ」の3つに分けられた。
- その結果、「聞かされたのは多数派の意見だ」と感じた人が最も多かったのは「3人から意見を聞かされるグループ」だったが、「繰り返し意見を聞かされるグループ」にも同様に感じる人が多かった。
とのこと。論文をまとめた記事ですので詳しい数値などは不明ですが、たった1人の言うことでも繰り返し聞いているうちに「世論」のように聞こえてしまう、というのは面白い現象ですね。その意見が多数派のものかどうか判断するのに、人間は「言っている人の人数」と同時に「聞かされた回数」も重視してしまうようです。
この研究結果、意見のソースを「人」ではなく「メディア」に置き換えてみるとよりしっくり感じるのではないでしょうか。例えば「○○新聞」の社説を読んでいるうちに、なんとなくそれが多数派の意見のように感じられてしまうとか……実際には1社の(もしかしたらある論説委員1人の)意見に過ぎないわけですが。そもそも「多数派の意見だから正しい」という態度に陥らなければ済む話ですが、よく聞く話だからみんなそう思っているのだろう、と判断してしまわないように注意しなければいけませんね。また逆に、孤立無援の意見でも言い続ければ道は拓ける……というアドバイスになるかもしれません(ブログ時代には嬉しいアドバイスかも?)。
ちなみに詳しい実験結果を知りたい方は、以下の論文にまとめられているそうなのでチェックしてみて下さい:
Inferring the Popularity of an Opinion From Its Familiarity: A Repetitive Voice Can Sound Like a Chorus. Kimberlee Weaver, Virginia Polytechnic Institute and State University, Stephen M. Garcia and Norbert Schwarz, University of Michigan, and Dale T. Miller, Stanford University; Journal of Personality and Social Psychology: Vol. 92, No. 5
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