先日、立て続けに2つの新しいサービスを目にする機会がありました。どちらも同程度(だと思う)の規模のベンチャー企業(仮にA社・B社とします)が作ったサービスで、どちらも最近の時流に乗ったもの。ただし内容は全く異なるので、比較してはいけないとは思ったのですが、両社のスタンスの違いに目が向いてしまいました。
端的に言ってしまえば、両社の違いは「方向性」。A社はユーザーというか、そのサービスを使ってくれる(であろう)人々の方を向いていて、B社は自分の理想とする世界の方を向いているといった感じ。本人たちは「そんなことはない」と言われるかもしれませんが、明らかに別の方向を向いて開発を進めているように感じました。
ユーザーに配慮するか、理想に向けて邁進するか。どちらかが正しいということはありません。現状を肯定するだけでは画期的なサービスは生まれない(従っていま有力なプレーヤーには勝てない)し、理想だけではユーザーはついてこないでしょう。その中間あたり、以前どなたかが仰っていましたが「時代の一歩先ではなく、半歩先を行く」ようなイメージで事を進めるのが良いのだと思います。その意味で「ユーザーか理想か」ではなく「ユーザーも理想も」追わなければならないのかもしれません。
ただ「理想を追う」という作業は、ともすると独善に陥る危険があります。「何が良いのかまったく分からない」ぐらい振り切ってしまえば、ユーザーから全く支持されず目が覚めるはずですが、「何だか分からないけど先進的」だと「これって新しくね!?」的なノリでもてはやすユーザー(含む自分)が出てきてしまいます。結果、方向修正のタイミングを逸してしまうという……自分の目にも、他人の目にも、理想は現実以上に輝いてしまうものなのでしょう。
自分たちのサービスの「現実」が支持されているのか、それとも「夢」が支持されているのか。先端技術そのものが好きな人々を相手にしているうちは、それを判断することは難しいでしょう。しかし冷徹にモノ/サービスの費用対効果を判断する人々=アーリーマジョリティ層にまで浸透しようとした瞬間に、真価が明らかになるはずです。A社とB社、どちらが先に主要市場に食い込むことができるか、その動向に注目したいと思います。
……まぁ、ギークな人々にウケるサービスをリリースしまくって、余韻だけで生きていくという戦略もありますが。
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