Jason Calacanis (それ誰?という方はこちらの記事をご参照下さい)がブログで「mixi 疲れ」のようなことを告白していて、それに Giga OM の Om Malik がコメントしています。面白いのでちょっとご紹介:
■ Facebook Bankruptcy (calacanis.com)
■ Social Network Exhaustion (or Facebook Bankruptcy Redux) (calacanis.com)
「SNSを使うのに疲れた」というエントリで、それを2つの言葉で表現しています。"bankruptcy"は「破産」ということですが、もちろん財政的に破綻したということではなく、Facebook を使っていると「友人たち」に対応するのに疲れてしまうという内容。一方"exhaustion"というのは「疲れ」という意味で、こちらは文字通り「ソーシャルネットワークに疲れた」という意味のタイトルですね。Jason は Facebook に948人の「友達」が登録されていて、日々様々なコメントやリクエストを受けているとのこと。それは彼のような有名人だからこそ、の悩みなのかもしれませんが。
で、それに対する Giga OM のエントリ:
■ Why do we have Facebook Fatigue? (Giga OM)
「バーチャルだからといってあらゆる人々と関係を保つ必要はない。もっと現実に近い交流をせよ」という提言がなされています。例えばこんな感じ:
- ソーシャルネットワークの世界は、ナイトクラブのようになりつつある。皆が集まるのは「見られたい(≒誰かと知り合いたい?)」という理由からで、「話をしたい」という理由からではない。
- ソーシャルネットワークでの交流は、夕食会のように捉えられるべきだ。そこに招かれるのは仲の良い友人や家族だけで、交流を保つのもずっと容易。
- 夕食会に、以前顔を合わせたことがある人全員を呼ぶだろうか?また「コーヒーでも飲みに行こう」と誘われたら誰とでも出かけるだろうか?そんなことはないはずだ -- なぜバーチャル上で同じことをしないのか?
- ソーシャルネットワークで重要なのは友人の数ではなく、交流を持つことだ。
で、SNS上で交流を保つべき人を見つけるテクニックとして、「ケータイを見よう」とアドバイスしています。ケータイに登録されているような人なら、現実世界でも強い関係を持っている人、ということですね。
個人的には、バーチャルなコミュニケーションツールにはバーチャルならではの価値があると思います。「弱い紐帯」議論ではありませんが、現実世界ではそれほど交流がない人々とでも、「弱い関係」を保っておけるのがSNSの良いところの1つではないでしょうか。現実世界で強い関係を持っている人であれば、そもそもSNSを使わなくてもコミュニケーションが行えるはずですし。またSNSには、見知らぬ人々と知り合えるというまさしく「ナイトクラブ」としての機能もあるはずです(ナイトクラブがどんな場所なのかよく分かってはいませんが)。現実世界での知り合いと交流することに限定してしまっては、SNSが提供する価値の半分を捨ててしまうでしょう。
しかし「ナイトクラブやパーティーで一度だけ挨拶した人々」と、深い交流をしなければいけないように感じてしまうのがSNSなのかもしれませんね。それには、
- バーチャル上ではどんなに遠く離れた人でも、その活動が身近なものとして表示される
- 「最近更新された日記」「足あと」など、すべて同列に表示されるので、縁遠い人の活動でも目に入ってしまう
という2つの原因があるように思います。例えば「最近更新された日記」に表示する日記(ユーザー)を選択したり、プロフィールページへのアクセス回数によってユーザー名の表示が変わる(あまりアクセスしていないユーザーの名前はうすーい色で表示されるとか)といった工夫があれば、(悪い意味ではなく)疎遠な人を身近に感じてしまうことを防ぐ=「反応しなきゃ」という心理的負担を感じずにすむ、ということが達成できるかもしれません。
しかしそんな機能が実現されるのを待つわけにもいきませんから、バーチャル上での交流にリアルでの交流ルール(目を合わせたら会釈しなければいけない、etc.)を持ち込むのを避ける、という自衛手段を取ることが必要なのだと思います。ただ相手がリアルと同じ交流を求めていて、こちらが応じないことに怒ってしまうという危険性もありますが。しかしいずれ人間の脳も「リアルでの交流」と「バーチャルでの交流」を分けて考えることに慣れ、SNSに疲れない体質を作り上げていくのではないでしょうか。
Steve RubelはSNS疲れを含めたもっと広い意味でAttention Crashといってました。これってFacebookの影響だと思うんですよね。
手前味噌ですが「Facebookが起こしつつあるパラダイムシフトと日本」ってのでその辺を書きました。
http://akamakura.jugem.jp/?eid=350
投稿情報: 赤枕十庵 | 2007/08/01 02:37
赤枕十庵さん、コメントありがとうございます。
なるほど、"Attention Crash"ですか。確かにこれだと、他のソーシャル系ツールでの行動も含まれてきますし、響き的にもピッタリだと思います。
十庵さんが記事で指摘されていた、海外での「SNS疲れ」と日本の「mixi疲れ」には違いがあるのでは(ネットワークの「広がり」か「密度」か)という点、興味深く読みました。確かに日本の悩みは「マイミクにはとことん尽くさなければならない(ような気がする)」という感じで、数多くの「友人」に対応しなければならないというのとはちょっと違うのかもしれません。逆に日本の場合、SNSを「夕食会」と捉えるのではなくて、「ナイトクラブ」のような気軽な場所と捉える方が「疲れ」の処方箋になるのかな・・・とふと思いました。
投稿情報: アキヒト | 2007/08/01 14:21