ごめんなさい、そんな方法があったら僕が教えて欲しいぐらいです。実は最近、『なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?』(原題"The 4-Hour Workweek")という本が話題になったのをご存じでしょうか。特にシリコンバレーを中心に大人気だそうで、その裏側に何があるのかを探った記事がこちら:
■ Too Much Information? Ignore It (New York Times)
同書の著者である Timothy Ferriss 氏のバックグラウンドと、その主張が紹介されています。これについては、以下の記事でも日本語で詳しく紹介されていますので、興味のある方はこちらをチェックしてみて下さい:
■ 1週間に4時間しか働かない人の仕事術 (himazu blog)
■ The 4-Hour Workweek: 週4時間しか働かない仕事術 (1) (Lifehacking.jp)
要は「不要な仕事や情報収集をカットして、やるべきことだけをやれ」というのが Ferriss 氏の主張。その点について異論はないのですが、ではなぜこれほど話題になったのか、ポー・ブロンソンという方(Po Bronson、『シリコンバレーに行きたいか!』という本の著者)がこんな分析をされています:
Still, Mr. Bronson said he didn’t know anyone who had actually read it, much less abandoned a cubicle to study yabusame (horseback archery) in Japan, as Mr. Ferriss did last month. What has really turned heads is not the specific ideas, Mr. Bronson speculated, but its provocative title. In Silicon Valley, the promise of a lifestyle revolution — or hyperbole to that effect — will always find an audience.
“It’s not saying the ‘20-Hour Workweek,’” Mr. Bronson explained. “That would be something that lots of people can live. It’s 40 hours a week versus four. It’s very important in the tech world that consequences are exponential, not geometrical.”
それでも、ブロンソン氏はこの本(※『なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?』のこと)を実際に呼んだことのある人、ましてやオフィスを離れて(フェリス氏が先月したように)流鏑馬を研究しに日本へ行った人など知らないと言う。皆を振り向かせたのは個々のアイデアではなく、挑発的なタイトルなのではとブロンソン氏は考える。シリコンバレーでは、「ライフスタイルを変えますよ」などといった主張は常に観客を集めるものなのだ。
ブロンソン氏はこう説明する。「この本は『週20時間』とは言っていない。それならできる人は沢山いそうだ。同書は週40時間と、4時間を対比させている。このことは、幾何学ではなく指数関数的なルールで世界が動くテクノロジー業界にあっては重要なことだ。」
つまり「1時間や2時間の短縮ではなく、一気に10分の1にしてやろうという主張」が人々を引きつけた、というわけですね(このエントリのタイトルが「30分」ではなく「4時間」だったら、中身を読もうと思いましたか?)。また「生産性を上げる」という主張もシリコンバレーでは魅力的な誘惑のようです。実は New York Times の記事は、以下のような文章で始まっています:
AS one of Silicon Valley’s most respected entrepreneurs, Marc Andreessen is something of a connoisseur of what he calls “productivity porn,” or techniques to maximize personal productivity.
シリコンバレーで最も尊敬される起業家のひとり、マーク・アンドリーセン氏は、彼自身が「生産性ポルノ」と呼ぶもの鑑定家だ。「生産性ポルノ」とは、個人の生産性を最大化するテクニックのことである。
つまりポルノのように魅力的だと。この辺は、「ライフハック」的な記事が大流行の日本のIT業界周辺にも言えることかもしれません。
「不要な情報は制限しろ、しなくていい仕事は減らせ」というフェリス氏の主張に間違いはありません。しかしそれを持てはやしてしまう人々こそ、実は盲目的に「生産性を上げる」という情報に飛びついてしまう性格の持ち主なのかもしれませんね。フェリス氏の主張が実践できる人々は既にやっていて、できない人は「うんうん、そうだよなぁ……で、最新の仕事テクニックが他にないかな?」と探してしまっているのだったりして。
……というわけで、「今日の仕事を30分で片付けてしまう」本当の方法は、「仕事を早く片付けられる魔法の方法がありますよ」などという情報(=このエントリ)の誘惑に勝つことかもしれません。
はじめまして。「今日の仕事を30分で〜」という魔法の言葉の誘惑に負けた一人ですσ(^-^;)
「iGoogle」のお気に入りに登録している多くの記事タイトルの中でひときわ目に入ってきました。タイトルってすごい力を持ってますね。
でも面白い記事を読むことをできたので満足です!
投稿情報: いお | 2007/12/13 09:33
いおさん、コメントありがとうございます。すみません、タイトルで釣ってしまいましたw
しかしタイトルはそれだけ威力があるということですよね。結果は違っても、「得るものがあった」と言っていただけるよう頑張ります。
投稿情報: アキヒト | 2007/12/13 13:05