Technology Review に面白い記事があったので、ちょっとご紹介。キーワードは「Reality Mining (リアリティ・マイニング、「現実解析」)」:
■ What Your Phone Knows About You (Technology Review)
MIT の Sandy Pentland 教授が行った実験について。その内容は、「MIT の学生100人に携帯電話を渡し、蓄積されたデータからソーシャル・ネットワークを割り出す」というもの。学生に渡された携帯電話には特別なソフトが仕込んであって、電話のやりとりや実際の近さ(Bluetooth で測定)などが計れるようになっていたとのこと。これならば通常の SNS のように「自己申告制」ではなく、より現実に即した交友関係が分析できるということで、「データマイニング」ならぬ「リアリティマイニング」という言葉が使われているわけですね。
要は携帯電話を「実際の行動に一番近いログが取れる機械」と見立て、そこから様々な情報(SNS 的な交流関係もあれば、行動パターン分析なども)を引き出すと。この辺りはドコモの「マイ・ライフ・アシストサービス」と同じ発想ですね:
■ ソーシャルメディア セカンドステージ:【第11回】レコメンデーションの虚実(11)~ソーシャルとライフログの交差点を目指す (1/2) (ITmedia アンカーデスク)
MIT の実験で面白い点は、「Bluetooth で他のデバイスと交信することで、他者との関係を割り出す」というところ。これについて、Pentland 教授はこう解説しています:
Today's cell phones are on us all the time, and they come with hardware that can act as sensors for your environment. For instance, if Bluetooth is turned on, then the phone can see and be seen by other Bluetooth devices. You can start to make a record of the Bluetooth-enabled devices you encounter throughout the day. Then you can figure out, based on the frequency [with which] you encounter other people's Bluetooth phones, what sort of relationship you have with them.
今日、携帯電話は常に私たちの身の回りにあり、周囲にある環境のセンサーとして使えるハードウェアを備えている。例えば、ブルートゥースがオンになっていれば、その携帯電話は他のブルートゥースデバイスを見たり/他のデバイスから見られたりすることが可能になる。今日出会ったブルートゥースデバイスの記録を取ることが可能になるのだ。そうすれば、他人の持つブルートゥース内蔵携帯電話と出会う頻度をもとに、彼らとどんな関係なのかを割り出すことができる。
また持ち主の声をマイクで収録し、声のトーンから持ち主の感情を探る、なんてことも考えているのだそう。そういった可能性も考えると、いま考えられている以上に「ライフログ記録装置としての潜在能力」をケータイは備えているのかもしれません。
もちろん、この記事の中でも指摘されていますが、プライバシーの問題を無視することはできません。しかし「マイ・ライフ・アシスト」などのような具体例が増えていけば、「ライフログ装置としてのケータイ」「リアリティ・マイニング」という発想が急速に受け入れられる可能性もあるのではないでしょうか。
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