これはちょっと楽しみ、というかどんな結果を出すか気になるニュース。CNN が検閲ゼロのユーザー投稿型ニュースサイト"iReport.com"をオープンするそうです:
■ CNN to Launch Completely User Generated News Site (Read/Write Web)
ロイターでも報道がありました:
■ CNN launches Web site for citizen journalists (Reuters)
CNN は既に"I-Report"という取り組みを2006年8月にスタートさせていて、これまでに視聴者から10万件以上のニュースが投稿されてきたとのこと。また今年1月だけで約1万件の投稿があったそうなのですが、公開前に内容の検閲を行うため、サイトに掲載されたのはその10%程度だそうです。
一方、新たに開設されるサイト iReport.com は"post-moderated site"(記事公開後に調整が行われるサイト)と形容されています。Read/Write Web の記事ではこのように解説されています:
"The community will decide what the news is," CNN News EVP Susan Grant told Mediaweek. "We are not going to discourage or encourage anything -- iReport will be completely unvetted." (Though CNN will monitor the site for inappropriate content.)
CNN News の EVP、スーザン・グラントは Mediaweek に対して「何がニュースか決めるのはコミュニティです」と語った。「私たちは何かを妨げたり、促したりするようなことはしない。iReport は完全に検閲抜きのサイトだ。」(ただし CNN は不適切なコンテンツの監視は行う。)
また Mediaweek の記事によれば、新サイトは YouTube のようなイメージで、画像やビデオの投稿・評価・コメントなどが簡単にできるとのこと(さらにコンテンツのエンベッド機能も!)。ということで、まだ実物がオープンしていないので何とも言えませんが、アップロードされたものは即時公開される->何が上位に表示されるかは投票や閲覧回数等で左右される、というサイトになるのかもしれません。
いわゆる「市民ジャーナリズムサイト」と呼ばれるものの日本国内の現状に目を向けると、検閲や校正の問題を解決できずに四苦八苦しているところが目に付きます。ならば正否を判断するのは閲覧者に任せてしまい、市民ジャーナリズムの速報性やローカルニュースを追う力の方を優先させる……というのも一つの判断かもしれません。だからといって誤報や誹謗中傷が iReport のサイト上で公開された際に、CNN が一切責任を負わなくて良いのかという議論は当然出てくるでしょうが。
iReport の登場によって、大手メディアの存在意義が無くなる……などということは当然ないでしょうが、このサイトがきっかけとなって大手メディアも取り上げるニュースが生まれる、ということは出てきそうですね。また大手がフォローしないローカルニュース、ごくニッチな分野のニュースなどが掘り起こされる、ということが出てくるかもしれません。また不正利用の問題も間違いなく出てくるでしょうが、何とか新たな報道のあり方として定着して欲しいものです。
< 追記 >
ITmedia で iReport.com 正式発表の記事が出ていましたので、リンクしておきます:
■ CNN、市民記者SNSサイト「iReport.com」立ち上げ (ITmedia News)
コメント