デジタル時代には「情報は無料になり、欲しい部分だけ手にはいるようになる」という予言がさまざまなところでなされていますが、出版界においてもその方向は避けられないようです:
■ Random House To Start Selling By The Chapter; HarperCollins To Post Free Books Online (paidContent)
米出版大手のランダムハウス社と、ハーパーコリンズ社の動きについて。まずランダムハウスですが、このブログでも度々引用してきた(ココとかコレとか)"Made to Stick"をチャプター単位で販売するとのこと(実際の販売ページはこちら)。対象となるのは同書の第1章~第6章およびエピローグで、それぞれ1つ$2.99での販売となります。読者がばら売りに興味を示すのか?を確認するのがこの動きの目的とのこと。
次にハーパーコリンズ。こちらはニューヨークタイムズの記事でも詳しく解説されているのですが、同社が出版している本の数冊について、公式ページ上で全ページを閲覧可能(しかも無料で)にするとのこと。ただしダウンロード不可・印刷不可なので、「無料で配布!」というよりは、アマゾンの「なか見!検索」が進化したイメージでしょうか。同社も今回の目的を、ネット上での「立ち読み」を許可することで売り上げが増えるのかどうか(もしくは立ち読みで満足してしまい、売り上げは減ってしまうのか)?を確認することと説明しています。ただし以下の通り、スクリーンショットを取ることは可能なので、1ページずつイメージで保存していくこともできてしまいますが(ちなみに以下で表示されているのは"I Dream in Blue"という本):
またこの「立ち読み」は出版済みの本だけでなく、これから出版予定の本を事前(発売の2週間前)に公開する、ということも予定しているそうです(米国で火曜日からとのことなので、もう少しで見れるようになるかもしれません)。ただしこちらは1冊の20%分しか公開しないとのことなので、全ページを立ち読みで済ますことはできませんが。
ばら売り、立ち読みが売り上げ増に貢献するかどうかはまだ分かりませんが、大手出版社の本でも実験が行われることによって、「デジタル時代のコンテンツのあり方」をめぐる論争に一石を投じることになりそうですね。日本の出版社でも、こんな実験に積極的に取り組んでくれるところが出てくると良いのですが……。
【関連エントリ】
コメント