普段は何とも思わなかった広告なのに、今日に限って妙に気になる。あるいは、癪に障る。そんな経験は珍しくないと思いますが、広告にも「コンテクスト」が重要であること――つまりどんな文脈でその広告が目の前に現れたのか、が重要であると研究で証明されたとのこと:
■ Context Is Everything: An Armani Ad On 1 Page Changes Perception Of Honda Ad On Next Page (ScienceDaily)
「1ページ目のアルマーニの広告が、次ページのホンダの広告に影響を与える」というそのものズバリのタイトル。INSEAD とノースウェスタン大学の研究者らによる発表で、いくつかの調査を通じて、コンテクストが広告に及ぼす影響が調査されたとのこと。その結果、影響が出るのは当然として、どんな影響が出るかは「広告で扱われている商品/サービスのカテゴリーに関する知識を閲覧者がどれだけ持っているか」によって左右されたそうです。
In the first study, "positive" ads were for Armani clothing and Rolex watches. "Negative" ads were Old Navy and Timex—brands with less status. The target product was a Honda Civic. After the participants were rated in their expertise about cars, the results showed that experts evaluated the Honda more favorably after seeing positive context ads than negative, and novices showed the opposite pattern.
"Consumers who had substantial knowledge about cars evaluated Honda Civics more favorably after seeing Armani and Rolex ads compared to exposure to Old Navy and Timex ads," explain the authors. "On the other hand, less-knowledgeable consumers evaluated the target brand less favorably." Studies of target ads for fictitious brand stereos and detergent yielded similar results.
最初の研究では、「ポジティブなコンテクストを形成する」広告としてアルマーニとロレックスが選ばれ、「ネガティブなコンテクストを形成する」広告としてオールドネイビーとタイメックス(つまりステータスの低いブランドたち)が選ばれた。影響を測定する対象となったのは、ホンダ・シビックの広告。被験者の自動車に関する知識が測定された後、「(自動車の)エキスパート」とみなされた被験者は、ポジティブなコンテキストに置かれたホンダの広告をより好意的に評価するという結果が得られた。自動車に関して詳しくない被験者は、逆のパターンを示した。
「自動車について十分な知識を持っている消費者は、オールドネイビーとタイメックスの広告を見た後よりも、アルマーニとロレックスの広告を見た後の方がホンダ・シビックを好意的に評価する傾向にあった」と著者たちは解説する。「その一方で、あまり知識のない消費者たちは、当該ブランドをあまり好意的に評価しなかった。」ステレオと洗剤の架空のブランドを作って調査した場合でも、同様の結果が得られた。
とのこと。趣味や業界の専門誌に広告を出す場合には、その分野で「高級ブランド」と見なされる商品/サービスの広告が多く出ている媒体を選び、逆の場合は「一般向け」と見なされるブランドの広告が多く出ている媒体は避けること――といった教訓に使えるでしょうか。
あるいは広告を出す場合、自社とは違う分野で活動している企業であっても、「高級ブランド」と見なされる企業と共同でキャンペーンができないかもちかけてみる、という話になるかもしれません。なんだか儲かっている人物にすり寄るような感じがしないでもないですが、ともかく広告を置く場所にも「文脈」が関係するよ、という研究でした。
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