最初にお知らせを2つほど。まず、ITmedia エンタープライズさんで Twitter の定点観測記事を書かせていただきました。8月前半に起きたトピックをまとめてありますので、ご興味のある方はご覧下さい:
■ Twitter定点観測: 事件はTwitterで起きている (ITmedia エンタープライズ)
次に、@yasuyukima さんと @geekpage さんが主催される Twitter の勉強会、「スバツイ勉強会」に登壇者として参加することになりました:
■ 「スバツイ勉強会」は9/11@オラクル青山センターです。 (Reason to be cheerful, part 2)
Twitter 界の著名人が一堂に会する(?)この勉強会。9月11日(金)19時からとなりますので、ぜひご参加下さい!
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せっかくなので、今日のネタも Twitter で。先日、ロンドンのロイヤルオペラハウスが「Twitter オペラ」なるものに取り組んでいることをご紹介しましたが、ニューヨークのブロードウェイでは「Twitter ミュージカル」が登場したそうです:
■ It’s Broadway Gone Viral, With a Musical Meted Out via Twitter (New York Times)
紹介されているのは"Next to Normal"というミュージカル。このプロモーションが Twitter 等のソーシャルメディアを通じて行われた、というところまでは普通の話ですが、面白いのはその方法。作品が公開されてから6週間後の今年5月、Twitter 向けに編集された劇のシナリオおよび台詞の配信が公式アカウント(@n2nbroadway)上で開始され、約1ヶ月かけて完了したとのこと。このアカウントの過去ログを漁ることも可能ですが、こちらのPDFファイルでまとめを読むことができますので、興味のある方はご覧下さい。
どんな雰囲気なのか、ちょっとだけ引用してみると:
Wednesday, May 20 [9am]
DAN – applause, applause to Natalie for yesterday’s concert. I’m sure it was awesome.
NATALIE – @ Dan, You’d have enjoyed it more if you and mom actually made it there.
5月20日(水)午前9時
ダン ― 昨日のナタリーのコンサートに拍手!素晴らしかったよ。
ナタリー @ダン あなたとお母さんが会場に来ていれば、もっと楽しめたでしょうにね。
と、実際に複数の人々が Twitter 上でやりとりしているような雰囲気になっています。もちろんこれを読んだからといってミュージカルそのものを味わえるわけではないですし、そもそも脚本は Twitter 向けに改編されたものなので、ストーリーに興味を持ったら次は劇場に足を運ぶという効果を狙ったわけですね。ちなみに5月12日の時点で約3万人だった @n2nbroadway のフォロワーは、現時点で約56万人にまで増加しています。さらにこんな結果が出ているとのこと:
The show, which sold $226,000 in tickets and filled 72 percent of its seats in the week before the Twitter production began, made $363,000 and reached 99 percent of capacity the week it ended, according to the Broadway League, although that bump is largely attributable to its 11 Tony nominations. On the week ended Aug. 9, the production made $480,000, selling 95 percent of seats. (The average ticket price over the four-month run has climbed to $82, from $51.)
“They’re selling to 90 percent-plus audiences. I think Twitter has something to do with that,” said Mr. Bazadona, of Situation Interactive.
Broadway League によれば、Twitter 上でのストーリー配信が始まる前の週の段階で、"Next to Normal"のチケット売上は22万6,000ドル、シート販売率は72%だった。しかしストーリー配信が終わった週、売上は36万3,000ドルに達し、シート販売率も99%まで上がった(ただしこれはトニー賞11部門にノミネートされた効果が大きかったと思われる)。8月9日週の段階で、売上は48万ドル、シート販売率は95%となっている。(この4ヶ月間のチケット平均金額は51ドルから82ドルへと上がった。)
「彼らは定員の90%以上の観客を集めている。それにはTwitter が何らかの影響を与えていると思う」と Situation Interactive の Bazadona 氏は述べている。
また以下は、実際にミュージカルに出演している俳優のコメント。なかなか洒落ています:
Adam Chanler-Berat, who plays the character of Henry, knew nothing of the Twitter version until an encounter with a fan after a spring performance.
“Someone at the stage door asked me if I was Twittering while I was on stage,” said Mr. Chanler-Berat. “I guess they got a Twitter message from my character while I was actually performing.”
ヘンリーを演じる Adam Chanler-Berat は、春講演の後で一人のファンに遭遇するまで、Twitter バージョンのことを何も知らなかった。
「誰かがステージドアの所に来て、ステージに立っている時に Twitter してたのかって僕に聞くんだ」と Chanler-Berat は言う。「たぶん、僕が演じている時に僕のキャラが送った Twitter メッセージを受け取ったんだろうね。」
実際、どこまで Twitter が売上に貢献しているのかは判断が難しいところだと思いますが、これまでになかった形で観客との関係が結べているのは事実でしょう。もちろん全ての作品で Twitter 活用が始まってしまえば新鮮味は薄れるものの、1つの目を引く使い方として、"Next to Normal"の事例は興味深いと思います。
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