年末年始のお休み中、久しぶりに腰を据えて本を読むことができました。何冊か「これは!」と思うものがあったのですが、こちらもその中の1冊です:
The Dragonfly Effect: Quick, Effective, and Powerful Ways To Use Social Media to Drive Social Change Jennifer Aaker Andy Smith Chip Heath Jossey-Bass 2010-09-28 売り上げランキング : 28138 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
"The Dragonfly Effect"という、ちょっと変わったタイトルの本。実はAMN近況報告ブログで以前紹介されていて(参照:「The Dragonfly Effect」は"一読の価値あり"です)、ずっと読まなくちゃと考えていたものです。結論から言うと、ちょっと実践面に偏りつつも(逆に実用的と評価することもできるでしょうが)、期待通りの内容でした。
"Dragonfly Effect"を直訳すると、『トンボ効果』という訳の分からない言葉になってしまうのですが(何を示唆しているのかは後述します)、テーマは副題で簡潔に示されています:
Quick, Effective, and Powerful Ways to Use Social Media to Drive Social Change
ソーシャルメディアを使って社会を変えるための、迅速かつ効果的、強力な方法
とのこと。一言で言えば「ソーシャルメディアで社会を変えよう!」ってことですね。
ただし本書は、単にソーシャルメディアの使い方を解説する本ではありません。心理学や行動経済学など、様々な分野から「人を動かすノウハウ」が集められており、むしろそのノウハウをソーシャルメディアというツール上でどう表現するか?に主眼が置かれていると言えるでしょう。実は本書のまえがきを書いているのは『アイデアのちから』や『スイッチ!』などの著者であるチップ・ハース、そしてあとがきを書いているのは『予想どおりに不合理』でお馴染みの行動経済学者、ダン・アリエリー。この二人が登場しているのは、非常に象徴的と言えるでしょう(ちなみにこれらの本も非常に面白いので、まだという方は一読されることをオススメします)。
で、本書は社会を変えるアプローチとして、「Focus (焦点を絞る)」、「Grab Attention (注目を集める)」、「Engage (人々を巻き込む)」、「Take Action (行動を起こす)」の4つのステップを提案しています。そしてこの4ステップを統合する象徴となるのが「トンボ」。なぜトンボ?という説明については、先ほどのAMNブログで翻訳されている文章を引用してみたいと思います:
トンボは、4つの羽を同時に動かすことでどの方向にも方向転換できる唯一の昆虫だが、そのことにちなんだ題名を持つ本書では、ごく普通の人々が、ソーシャルメディアのもつ信じられないほど大きな力を活用することで、前例のないような成果を生み出せることについて、そのやりかたを明らかにする。
ということで、4つの羽を4つのステップになぞらえて、「トンボのように自在に羽ばたこう!(そして目標を達成しよう!)」というわけですね。
本書はこの4ステップを軸として、さらに細かいアクションを考察すると共に、様々な「ソーシャルメディアで社会を変えた」事例を補足情報として補ってくれています。したがって理論が上滑りするのではなく、「この理論を現実の行動に移したらどうなるか?」を想像しながら読み進めることができるでしょう。ただコラムやチャートが度々登場するので、ちょっと雑多な印象を受けるかもしれません。これも、実践的な情報が多く載っている方が好きか、理論の深掘りを徹底してくれる方が好きかという好みの問題かもしれませんね。
ともあれボリューム的にもちょうどで(あとがきを入れて約170ページ)、さっと読んですぐに行動に移せるような本だと思います。地元でチャリティイベントを企画している人から、「Twitter革命!!」をもくろんでいる人まで、オススメできる一冊ですよ。
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