CNet Japanのコラム「エキスパートの視点」で、Video iPodなど携帯ビデオプレーヤーは普及しないだろう、という意見が掲載されています:
携帯ビデオがパッとしない7つの理由(CNet Japan)
表題通り、携帯ビデオの普及を阻む7つの理由が語られています。
逆に言うと、この7つの障害が乗り越えるような使い道が考えられれば、それが携帯ビデオのキラーコンテンツとなるのでは?僕は携帯ビデオプレーヤー、あるいはVodcasting(Video Casting)の熱心な支持者というわけではないのですが、面白いので挑戦してみます。
- 「ながら観賞」ができない
- 画面が小さ過ぎる
- 動画は得てして長過ぎる
- どこにでもテレビがある
- 繰り返して見たりしない
- 簡単に解決できる問題がない
- すでに代替品がある
「ながら鑑賞」しなくても良いコンテンツなら良いのでは?昨日の記事(Video iPodのキラーコンテンツ?)で紹介した通り、「ハウツービデオを携帯ビデオプレーヤーにのせるのはどうか」というアイデアが出ています。「歩きながら見る」ために映像に携帯性を持たせるのではなく、「テレビが近くにない所で映像情報を提供する」ために映像を持ち出せるようにする、という発想をすれば良いのではないでしょうか。
「画面が小さくても良い」コンテンツ、あるいは変な表現ですが「一部に注目していれば良い」コンテンツを載せればいいのでは。例えばキッチンで見るための「長流と鰐のグリブナーヤ・イクラ(料理名です)」の作り方ビデオであれば、ある程度画面は小さくても良いし、必要に応じて手元や食材をアップで撮影しておけば良いはずです。
語学講座や道順案内など、ブチブチ切りながら見てもよいコンテンツもあるのでは?
またこの発想も、「携帯ビデオは移動中に見るものだ」という前提にこだわり過ぎているのではないでしょうか。確かに20~30分程度しか1つの移動手段の中にいない通勤・通学の場面では、30分~2時間のコンテンツ(テレビ番組や映画など)を見るのには無理があるでしょう。しかし先ほどの「ハウツービデオ」系コンテンツであれば、一箇所に止まって見ることを想定して、ある程度長いコンテンツも可能なはずです。
通勤・通学途中はもとより、日曜大工をしている庭先、肉じゃがを作っているキッチンには存在しません。
これも「ハウツー系」なら、何度も見ることが考えられるでしょう。特に語学講座であれば、何回も繰り返し見なければいけません。
これはどちらかと言うと「iPodが爆発的に売れた理由」なので、「Video iPod」が爆発的に売れない理由にはなっても、携帯型ビデオプレーヤーが流行らない、あるいはVodcastingが普及しないという理由にはならないのでは。
携帯用DVDプレーヤーでは、ネット直結というわけにはいきません。既にDVD化されているコンテンツであれば良いですが、「Usherの最新ビデオクリップ」なんかはいったんダウンロードして、DVDに焼かなければいけません。1回や2回ならまだしも、それを日々繰り返すとなると考え物でしょう。
ということで、なんだか昨日の「ハウツービデオ on iPod」というアイデアに引きずられたような内容でしたが。要は「携帯ビデオ=移動中に見るもの」という発想を捨てて考えてみれば、様々な可能性が考えられるのではないかと。
ここまで考えてきて、僕自身が可能性があると思っているのは「NHK語学講座Vodcasting」です。Podcastingに関するものですが、先日の記事(Podcastingのキラーコンテンツとは?)でご紹介した調査では、今後聴きたい番組として語学講座・専門学習講座を挙げた回答者が37.3%も存在しています。中でも語学は、耳と同時に目からも情報を取り入れないと、上達が難しい学問です。とりあえず「語学講座を毎日携帯ビデオで視聴する」ニーズはあるとしましょう。
で、「ながら見」ですが、これはクリアできます。1回の番組は短い(現在、ラジオ講座は20分、テレビ講座は30分)ですし、いつ一時停止しても問題ありません。画面が小さくても問題ないですし、単語のつづりを覚えて欲しい時には、画面をアップにすれば良いのです。
しかも繰り返し、定期的に見る必要があります。1日に7時間の勉強をするのではなく、毎日1時間の勉強を1週間繰り返した方が効果があるのが語学です。語学講座とVodcasting、意外と相性が良いと思うのですが、どうでしょうか?
・・・実は来年のサッカーワールドカップに向けて、遅まきながらドイツ語の勉強を始めたいのに、なかなかNHK語学講座の時間に家に居れない、という不満を感じているだけだったりするのですが。
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